日本エネルギー会議

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電源コスト比較の難しさ

将来の電源に何を選択するか、どのようなベストミックスであるべきかを検討する際に、重要な要素として各電源のコストがある。自動車の燃費の場合は国が10モードで走行した場合など条件を決めているが、さまざまなところで示される電源コスト比較を見るとどのような条件の下に比較をしたかがよくわからない。電源コストについて納得のいく比較をするにはどのような条件をつけるべきかを考えると悩ましい点がたくさんある。

(1)
比較する対象をどうするかの問題がある。海外まで含めるか日本国内だけにするか。太陽光発電や風力発電、原発などを見ると現状は概ね海外の方が安いようだ。これを将来的には国内にも波及すると見るのか。
(2)
数字を取るのに過去の実績でやるか最新の数字でやるか、それとも将来の動向も勘案した数字にするかという問題がある。過去の実績が一番信頼できるが将来の選択をするのに、たとえ最新であっても実績を使うというのは適当ではなさそうだ。
(3)
標準的なものでモデル的に考えるのか、あくまでも実際に使われている電源で考えるのか。モデルの場合、社会的なハードルが考慮されず実際と乖離して低く出てしまう恐れがある。
(4)
建設費や稼動率などに関し、将来の予想の低位、中位、高位のどれを採用するかの問題がある。自然災害の発生頻度や程度もどう勘案するのか。
(5)
化石燃料など燃料の市場価格は絶えず変化している。最新の市場価格で行くのか、過去の実績を使うのか、それとも将来の予想をするのか。
(6)
原発に関しては、さらに問題は複雑だ。原発の運転期間をどう見るか。現行規定の40年と見るか、延長が認められている60年と見るか、アメリカのように80年も可能とするか。また、不祥事や再稼動待ちで長期に停止している期間を運転年数に含めるかどうかの問題もある。使用済み燃料の処理処分費用をどうするか、燃料サイクル方式なのかワンスルー方式なのか。処分先が未定、処理工場の容量が不足する分はどうするのか。高レベル放射性廃棄物の処分は何を根拠に金額を見積もるのか。完成するまでの時間経過とともにかかる費用はどう見積もるのか、長期間監視する費用はどのように考えるのかなど不明な点、決め手に欠くことが山積である。 
福島第一原発の事故の損害を含めるのか、含めないのか。実際に支払われた事故収束の費用、賠償、除染の費用に限定するのか、それとも廃炉、廃棄物の処理処分などこれからも発生する費用を含めるのかどうか。トリチウムを含んだ水の処分、デブリを取り出すための装置などが巨額になる予想もある。
(7)
石炭火力のように環境問題から将来運転出来なくなる可能性があるものはどのように扱うのか。理屈からすれば発電コストは無限大になり、選択から除外されなくてはならない。

いずれにしても、電源のコスト比較については上記のような条件がしっかり示される必要がある。

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