日本エネルギー会議

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税金でなければ良いのか

先日、日本原燃の再処理工場が、原子力規制委員会より事実上の安全審査合格をもらったというニュースがメディアで一斉に報じられた。これからも追加工事のための許認可取得、地元の合意など操業までには一山もふた山もあると案じる論調が大半だった。また、もんじゅの廃炉やプルサーマルを実施する原発の再稼動が計画にはるかに満たない数であることや、操業すれば使用目的のないプルトニウムが増えることを指摘する記事もあった。

そんな中で産経新聞は5月14日付の「主張」欄で、石油や天然ガスなどに恵まれない日本にとって原子力発電の利用はエネルギー安全保障上、避けて通れない道であると従来からの主張を繰り返すとともに「わが国の電力安定供給に資する大きな前進として歓迎したい」とした。審査書の取りまとめまで7年もかかったことについても、巨大な化学プラントで技術的困難があったこと、福島第一原発の事故の影響で審査制度が変わったなど日本原燃に対し同情的な書きっぷり。返す刀で原子力規制委員会の過剰要求や審査スピードの遅さなどと批判している。

それはそれとして、次の一節は頂けない。
莫大な建設費に対する批判の声もある。しかし、原燃は民間企業だ。「もんじゅ」のように税金を使ったわけではない。同社の労をねぎらいたい。
これまでにかかった2兆9千億円は当初予算の数倍だ。この見込み違いを見逃すことは出来ないのではないか。そんなに見通しがわからない事業であったならば民間でやるべきではなかった。「もんじゅ」のように税金を使ったわけではないと擁護しているが、では誰が負担したのか、完成後40年間の運営費や廃炉費などを含めた事業費全体約14兆円はどこが負担するのか。

日本原燃はおおむね大手電力会社が出資し、使用済み燃料を送り出す電力会社が再処理費用の前払いをし、金融機関からの巨額の借り入れの債務保証をしてきた。すくなくとも電力自由化までは、電力会社は経済産業省の認可をもらって決めた電力料金に含めて消費者からその分を回収していた。電力使用の契約をしていない企業や家庭は皆無。自由化前の20年間は地域の大手電力会社としか使用契約を結べなかった消費者にとって毎月の電気料金は税金と同じだ。税金を使わなかった同社の労をねぎらいたいというのは、見当違いも甚だしい。

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