日本エネルギー会議

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大手電力会社の不安材料(1)

現在、大手電力会社は1995年の電力自由化開始以降、最大の危機を迎えている。各社は所有する原発を維持し、無事に廃炉出来るのだろうか。それを裏付ける八つの不安材料を挙げてみよう。
第一は日本国内の電力需要の低迷だ。主な原因は人口の減少と分散型自家消費電源の普及と省エネの進行である。最新データとして経済産業省が発表したところによれば、2018年度の需要は対前年同月比1.2%減の8,962億kWhだった。僅かに期待出来るのがこれからの電気自動車の普及である。
電灯電力使用電力量の推移

第二は新電力の市場参入だ。小売りに関して2016年春に家庭用の低圧まで全面自由化され、そこにガス、通信、商社などさまざまな業種からの参入があり、小売電気事業者は現在600社以上が登録されている。この結果、リサーチ機関の富士経済の予測では、新電力のシェアは2019年度で約16パーセント、2030年には約28パーセントになると見込まれている。放っておけば大手電力会社の売上が現在の約7割になってしまうということだ。


第三は石炭など二酸化炭素に対する逆風である。地球温暖化防止の観点から二酸化炭素の排出のない電気が求められている。SDGsにより金融機関が石炭火力に対して融資残高をゼロにする方向になっており国内外で新たな建設が難しくなっている。電力会社は技術的に困難な二酸化炭素分離貯蔵設備を付けるか、廃止するかの選択を迫られそうだ。技術的に可能かもわかっていない。これ以上石炭火力から天然ガス火力にシフトすれば、今度は天然ガスへの依存度が高くなりすぎるリスクが生ずる。最近では、海外で天然ガス火力の二酸化炭素排出をも問題にし始めた。大手電力会社は火力発電を主要な電源しており、火力発電所が座礁資産となれば経営は成り立たない。

第四に異常気象など災害の多発がある。このところ毎年のように大きな自然災害が発生し発電所や送配電設備に損害が発生している。下表は昨年10月の産業構造審議会保安・消費生活用製品安全分科会、電力安全小委員会の資料である。今後も災害頻発となれば収支を圧迫することは間違いない。

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