日本エネルギー会議

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国と地方の駆け引き

コロナウィルス感染対策として国から緊急事態宣言出され、各都道府県はこれに従い、休業要請や支援金の支給などが行われている。感染の第一波が収まり宣言解除が検討されたが、その際、解除の条件などについて西村担当大臣と大阪府知事のやり取りが話題になった。地方分権の議論はもう何年も前から始まっているが、今回のコロナウィルス騒動は再び議論が高まるきっかけとなりそうだ。

原発の再稼動問題も国策である原発推進に関して各地元の自治体は法的には根拠のない安全協定を電力会社と締結しており、工事計画や再稼動に対して実質的に権限を持っているのと同じ状況だ。安全協定を結ぶ対象も当初は県と実際に原発が建設されている市町村に限られていたが、最近では周辺の多くの市町村と協定を締結するようになっている。また、原発だけでなく再処理工場や使用済み燃料の貯蔵施設や廃棄物貯蔵施設なども安全協定を結ぶようになっている。

県と市町村、あるいは立地地点の自治体と周辺の自治体との間で判断に微妙な差が出てくる。立地地点の自治体は電力会社との関係が濃密であり、首長や議会も電力会社の側に立った判断をする傾向があるが、周辺の市町村では住民の安全を優先しようという空気があり、県としても悩ましいところだ。

もしも国がエネルギー安全保障上の観点から原発の再稼動を地元に求めるような場合、安全協定は法的根拠がないから無視出来るかという疑問も湧いてくる。コロナウイルスの休業要請や自粛要請でも日本は法的な根拠がなくても、同調圧力などでなんとなく事は進んでしまう。政府も地元が反対すると国に権限があっても強行はしない。アメリカとの関係がある沖縄の基地では国が強行的にやっているが、本土のイージスアショアでは腰が引けている。

原発について国は敢えて内閣支持率や政党支持率を落としてまでは強行せず日本的なやり方で今後も進んでいくようだ。国民の安全や財政支出や電力料金上昇という犠牲は払っても、自分たちの選挙や地位は大切にしたいのが本音だ。電力会社もアメリカのように再稼動出来なかったために損害を被ったとして地元の自治体や反対派を訴えたりはしない。裏でさまざまな工作はするがじっと我慢するのが常である。事を荒だてれば結局時間がかかり、後々まで対立感情でしこりが残ってはこまるからだ。

日本の地方自治体は財政的に国の交付金に完全に依存しているので、本来ならば国の言うことを聞くはずだが迷惑施設を受けてやっているという気持ちがあるから原発に関しては強気だ。国も自治体も双方にずるいところがある。地方は出来れば国に貸しをつくりたい。国もがんじがらめでは困る。実に日本的だ。  

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