日本エネルギー会議

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再処理工場=ピラミッド説

六ケ所村の日本原燃再処理工場は原子力規制委員会の安全審査に合格したことが発表されると、「これまで当初の予算をはるかに超過して3兆円もかかった」「これからまだ改造工事をして運転をすると全部で14兆円かかる」「核燃料サイクルのひとつである高速増殖炉もんじゅが廃炉になったので、プルサーマルでプルトニウムを消費するしかなく再処理量は制限される」などその経済性に疑問を投げかけ、これらの負担はすべて電気料金に載せられ消費者にかかってくるなどと指摘する報道が多く見られた。

日本原燃が使った3兆円はどこに行ったのか。土地代は地主に、工場の建物は国内のゼネコンとその下請け企業に、設備は主に国内メーカーとその下請けの工場に支払われた。また日本原燃の3000人の社員や地元企業が常用している人はそのほとんどが地元住民である。国が支払った交付金や日本原燃が支払った固定資産税や企業住民税、出した寄付金などは青森県と六ケ所村が受け取っている。一部は海外企業に行った金もあるが、3兆円の建設費のほとんどが東京などに還流し、人件費などは地元に落ちた。

結果として巨大な処理工場が日本原燃の資産として残り、そのために使った
金は国内に還流して企業や人々の生活を支えたのである。還流したり地元に落ちたりした金は食料や資源を輸入するために海外にも流れたが、それは再処理工場に限ったものではなくどこでも行われている。例え再処理工場がこれから先も操業出来ず、もんじゅのように廃止措置に移行するとしても結果は同じ。再処理工場はこれからも電気料金に含めて徴収した金でゼネコンや地元を潤し続けるのだ。

ここで思い浮かぶのはピラミッドである。ピラミッドはエジプト王の墓であると考えられていたが、近年の研究では墓ではなかったようだ。建設にあたっては奴隷が使われたのではなく特別に建設集団がいた。ピラミッドの近くに集団の住む町も発見されている。何故ピラミッドを建設したかについては宗教的なものであるとの説、王の権威を示すためとの説に加えて雇用確保のための公共事業として行われたのではないかという説が出ている。二千年後、子孫たちはピラミッドを大切な観光収入としている。

再処理工場を建設した目的は国産のエネルギー資源確保と電力会社の利益のためである。目的を果たせればそれにこしたことはないが、果たせなくてもピラミッド建設と同じように金を電力消費者から原子力関連企業や地元に回した効果はあった。メーカーにとっても金を頂きながら多くの事を学べるありがたい存在であったに違いない。戦費のように多くの人命を失い、海の藻屑となったわけではない。ニューディール政策やベーシックインカムのようなものだ。全国の原発の地元では道路が出来て病院や学校に行け、働く場所が出来て出稼ぎに行かなくても済むようになったことを評価する声が圧倒的だ。特に下北半島のような企業誘致が難しい場所でこれだけの雇用と消費を何十年にもわたってもたらした効果は大きかった。また、核燃料サイクルを目指し、再処理工場を建設しているという我が国の国際的ステータスも保てた。日本原燃もウラン濃縮や低レベルの放射性廃棄物の埋設は成果を出している。
ただ、3兆円もあれば単に金を回すだけでなく、将来の輸出産業のタネになる技術の研究開発、環境改善の取り組み、国土の強靭化の取り組み、高等教育や文化への支援の充実も出来たのではないかと考える人もいるだろう。

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