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秋田のコメと洋上風力発電

オーストラリアの輸出額の第1位は何か。2016年の輸出額で見ると黄金(Gold)が1兆5300億円、これは牛肉の2倍、羊毛の5倍となっている。この質問に正解を出せた人は相当の統計通だ。それほどではないが国内でも意外な例がある。

秋田県といえば人口減少が激しいが子供の学力テストはいつも上位で教育水準が高く、イージス・アショアの候補地で話題になったところだ。コメの銘柄の「あきたこまち」を思い起こす人もいるだろう。最近注目されているのが東北地方でも強い風が吹くことを利用した大規模な洋上風力発電の計画で、実現すると年間売上は秋田県のコメの出荷額の3倍以上だというのだ。

秋田沖に地元資本で着床式による7000キロワット級の洋上風車を426基設置する「洋上風力発電構想」が実現すれば出力は約300万キロワットに達する。年間の発電電力量を約97億キロワットアワー(約37%の設備利用率)と想定すると売電収入は約3500億円(36円/キロワットアワーの売電単価を前提)になると試算されている。秋田県の米の年間出荷額が約1000億円で、その3.5倍の額を洋上風力発電で稼ぐことになる。秋田県内の洋上風力発電の売上がコメの出荷額を上回るのは、ほとんどの人にとって意外だと思う。洋上風力発電の売上はそんなに大きいものなのか。原発との比較で見てみよう。

(原発の場合)
出力100万キロワットの原発が1年間に発電出来る電力は金額換算すると、100万kW×24時間×365日×稼動率0.8×売電単価10円=約700億円

(秋田で計画の洋上風力発電の場合)
出力300万キロワットの洋上風力発電所が1年間に発電出来る電力は金額換算すると300万kW×24時間×365日×稼動率0.37×売電単価36円=約3500億円

もし、洋上風力発電所の売電単価が原発なみの10円であれば約972億円となり、秋田のコメと300万キロワットの洋上風力電力設備の年間出荷額はほぼ同じになる。このことから言えることは、
・洋上風力発電は年間の3分の2は発電しないため、同じ100万キロワット級であると年間の発電量は原発の半分しかない。
・洋上風力発電は固定価格買取制度によって原発の3倍以上の価格で買ってもらっているので現在は売上額がその分大きくなっている。

洋上風力発電の発電コストは国内外の差が大きく、海外では固定価格買取り制度などなくキロワットアワー当たり10円を切っているところがたくさんある。もし国内でこの価格が達成されると洋上風力発電所は有力な電源になる。それでもなお稼動率からすると原発は2倍優れた電源といえる。さらに出力の安定性は圧倒的である。リプレイスであれば既設の送電線も使える。しかし今、国内において100万キロワット級の電源を建設するのに社会的にみて洋上風力発電所と原発とどちらの実現性が高いかといえば、残念ながら洋上風力発電所に軍配が上がるだろう。

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