日本エネルギー会議

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人口減少の原子力政策への影響

フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッドは最近、冷酷のそしりを恐れずに歴史人口学者として指摘するとして次のように発言している。「概してコロナ禍は高齢者の死期を早めたと言えます。ところで、重度の英米仏は適度な出生率を維持しています。一方で、軽度の日独韓中の出生率の低さは深刻です。長期的視野に立てば、コロナ禍ではなく、少子高齢化・人口減少こそが真に重大な国家的問題です。」

この指摘が正しいとすれば(人口予測ほど確実な予測はない)原子力政策、エネルギー政策への影響は限りなく大きいはずだ。特に中国以外は人口が1億以下であり、国家を支える人材の確保と配置の問題でこの先破綻することが必定だからである。国というものは国民の命が守れてこそ存在できる。その意味では今の北朝鮮や最貧国は国というもの自体の存続が危うい状態だ。国は行政機関、エネルギーや食料の供給機関、インフラ維持のための機関、外敵から国を守る機関が必要で、そこにはしかるべき能力のある人材をしかるべき数で配置する必要がある。明治政府は国立大学をつくり、前途ある若者を多数海外に留学させた。

日独韓はこれから少子高齢化・人口減少が進んだ場合、国として必要なポストに人材を確保することが極めて難しくなる。しかし、ドイツは移民を大量に受け入れており、韓国は南北統一の可能性がある。日本はこのままでは原子力規制庁を含め中央官庁や地方自治体、自衛隊が人材不足と質の低下に悩むことになる。エネルギー資源や食糧を輸入するための外貨を稼ぐ輸出産業も人材不足の直撃を受けるだろう。電気事業の運用においても人材問題がすでに深刻になっており、今後ますます事態は悪化しそうだ。エマニュエル・トッドに指摘されなくても、最後に掲げた2040年の日本の人口ピラミッドを見ればわかることだ。

政府は環境問題などから再生可能エネルギーを主力電源することにしたが、人材問題から考えてもそうしなければならなくなる。原発や核燃料サイクルは極めて高度な技術を持つ人材を多数必要とする。また、天然ガスなどの燃料確保にはサプライチェーンに人を確保しなくてはならない。自衛隊はシーレーンを守り切る人材を確保しなければならない。人材問題から考えると燃料いらず、運転員いらずの再生可能エネルギーは実に魅力的である。

私が先年行って見て感心したのは2360万人の台湾が国として成立し繁栄していることだ。原発も軍隊もあり、コロナウィルス対応も見事だった。原子力関係でも若い優秀な人がたくさんいる。その台湾でさえ台湾海峡の風力を利用して
再生可能エネルギーに大きく舵を切ろうとしている。

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