日本エネルギー会議

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福島の復興を未来から考える

東日本大震災・福島第一原発の事故からすでに10年近くたっており、日本国内も世界も状況が一変している。これからも激しい変化が続くはずだ。道州制が導入されたら福島県自体がなくなっている可能性さえある。まず立ち止まってやってきたことの確認をする必要がある。復興とは福島県を福島第一原発の事故以前の状態に戻すことではない。従来の復興計画を未来から考え直すべき時だ。

戦後に限ってみても、現在に至るまで東京の魅力に惹かれ、あるいはやむを得ず地方から首都圏に人口が集中し続けた。何が魅力や必要だったかといえば、職に就くため、金を稼ぐためであった。また地位や名声を得るなど自らの夢の実現のためだった。この時代、地方は故郷であり里帰りするところであり、一部の金持ちにとっては別荘があるところだった。東京は人口密度が高く、騒がしく、空気が悪く、家賃が高く、競争が激しくストレスだらけ、通勤に時間がかかり、自然がなくて人工物ばかりのところであったが、物の豊富さや文化、最新流行、高賃金などの魅力は総合的に地方の暮らしを上回っていた。あの時代の人々の求めるものが東京にはあったのである。それは今もなくなったわけではない。

しかし最近風向きが変わった。人々の考え方が変わったのである。それを後押ししているのは通信や運輸にかかわるテクノロジーの進化で、さらにコロナウィルス感染の拡大だ。テレワークで仕事の出来る人たちは地方への移住を考えて、不動産の問い合わせをする人が増加しているという。福島県は県全体でこの風を捉えるべきだ。それには東京を脱出しようとする人たちに福島県を選択してもらえるような状況を作り出すこと、他の道府県と比較してどのように優れているかを情報として伝えることをしなければならない。

福島第一原発の事故により人口が激減した浜通りでは、避難区域解除後に各町村が新たな住民を迎え入れようとさまざまな施策を行っており、新しい風を先取りしたかたちになった。県内の市町村は外部からの移住者を呼び込むためにそれぞれ工夫を凝らした補助制度を設けているが、川内村では移住支援金の支給要件として直前まで連続して5年以上東京23区に居住していたこととしている。家の新築補助は会津地方の町村が限度額50~200万円に対して、浜通りの町村は軒並み300万円となっている。飯舘村はなんと500万円だ。福島県の自治体はこのくらい出さないと住民誘致が出来なくなっている。

だが、東京の人たちに移住したいと思わせるのは補助金だけではないだろう。未来から考えるというのは、福島県をどんな所にしたいのかをはっきりさせること。「住み続けたくなる、暮らしたくなる」の言葉だけではなく、それがどのような住まい方であり、暮らし方であるかを具体的に示す必要がある。それに共感する人々が住み続け暮らし続けるところが未来の福島県である。同時に、東京など県外の人、あるいは外国人にもその住まい方や暮らし方に賛同し、それに自らも参加しようとする人々の集まるところが未来の福島県なのだ。

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