日本エネルギー会議

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対立する見解に戸惑う人々

先月中旬、日本経済新聞の「私見卓見」欄に日本エネルギー経済研究所の豊田正和理事長が「原子力再稼働と国際責任」と題する寄稿をされていた。政府の2030年の電源構成で20~22%を原子力とする目標達成は地球市民の責任として達成するべきだという内容。再生可能エネルギーへの期待は大きいが限度がある。太陽光発電のコストは低下してきたが、一層の引き下げは容易ではない。原子力を持つリスクばかりが注目されがちだが、持たないリスクはないだろうかと主張されている。(下線は筆者)

一方、同じ頃に自然エネルギー財団の木村啓二上級研究員(元早稲田大学教授)が、環境ビジネスオンラインに、2030年の太陽光発電システム(野立て、高圧)のコストは、5.0~5.7円/kWh と推計される。太陽光発電は原子力10.3円/kWh や、石炭火力12.9円/kWh よりも圧倒的に低コストとなり、最安電源になりうる見通しだ。2012年固定価格買取制度がはじまった当初、太陽光発電の買取価格は40円/kWhであったが、2020年度の買取価格は12円/kWhにまで下がった。昼間の卸電力価格の平均値(2018年度)が10.51円/kWhであるから、卸電力価格にかなり近づいていると書いている。40円/kWhは奇しくも日本初の商業用原発の売電単価と同じだ。

10年後、原発は既存のものでも10.3円/kWhを維持することは難しいのではないか。また、電源に占める割合も再生可能エネルギーは前倒しで達成出来るようだが、原発の30基再稼動は難しいというのが関係者の一致した見方だ。太陽光発電は出力が不安定であるが、蓄電池の性能向上やコストダウンも期待してよいだろう。(このことについては別途書く予定)  原子力を持たないリスクは、今は確かに存在するが、それは2030年頃には少なくなると思う。

お二人の見解がここまで対立すると、一般の人々は戸惑ってしまう。かつて原発の安全性について、原発推進と反対の両陣営が激しく対立した見解を出すだけで両者の討論の機会も少なく一般の人々は当惑したが、我が国の将来の電源の予測やあり方についてここまで対立してしまうとまた同じような不毛さを感じる。10年先の話なのだが、情勢変化は激しいので、ここ2、3年すればどちらかの主張の根拠が崩れるはずだ。

(参考)
2018年9月12日 資源エネルギー庁「コストダウンの加速化について(目指すべきコスト水準と入札制)」には次のような資料が使われている。

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