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Fukushima 50000

今年話題となった映画にFukushima50がある。原作は門田隆将の『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』。
脚本が前川洋一、監督が若松節朗。紹介記事によれば、内容は2011年3月11日に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故で、未曾有の事態を防ごうと現場に留まり奮闘し続けた人々の知られざる姿を描いたヒューマンドラマ。現場の最前線で指揮をとる伊崎に佐藤浩市、吉田所長に渡辺謙という日本映画界を代表する2人の俳優を筆頭に、吉岡秀隆、安田成美ら豪華俳優陣が結集したとある。

この映画で、一般の人には馴染みがない原発の現場と過酷事故の様子、国と電力会社の関係などが視覚を通して知られることになった。自己を犠牲にして人々を守ろうとする所長以下の人間の生き様がメインテーマのように思えるが、所長と当直長が最後に「俺たちは何を間違えたんだろう」と自問するところが観る人に対する問いかけだと言う批評家もいる。

確かにFukushima50たちは英雄だ。しかし、あの事故の日の深夜から翌日にかけて、自治体から防災無線を通じて、あるいは友人からSNSで、家財をそのまま置いて直ちに避難するよう勧告された多くの人々がいたのだ。彼らは道路が渋滞してもパニックに陥らず、食料の支給が滞ったり、夜間は凍えながらも大声もあげずに助け合いながら粛々と指示どおりに避難し、市町村の職員も自分や自分の家族も避難者でありながら、あらゆる困難に遭遇しながら住民の避難を支援し続けたのである。津波で肉親の行方が不明になった住民にも捜索を続けることは許されなかったが、一週間してから東京電力の社長が避難所に謝罪に来たときも、避難者たちが罵声を浴びせるようなことはなかった。

事故から9年後の昨年5月、復興庁は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の避難者数が、まだ50000人いることを明らかにした。避難はまだ続いている。帰還困難区域はいつ頃解除するかも国から返答をもらえていない。あの日から、避難した人はそれぞれ予想もしなかった人生を歩んでいる。東北で震災関連死がもっとも多いのが福島県である。いかに精神的ショックが強く、住民がそれに耐え続けてきたことか。
これは映画にはなりにくいかもしれないが、Fukushima50000として記録にとどめられるべきことである。

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