日本エネルギー会議

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低効率石炭火力の代替策

先月上旬、経済産業省は二酸化炭素の排出量が多い低効率な石炭火力発電所の休廃止を進めると発表、中旬には削減に向けた制度設計の議論を始めた。2019年で我が国の全発電量(約1兆キロワットアワー)の32パーセントを占める石炭火力の発電量(3300億キロワットアワー)の約半分、即ち1650億キロワットアワーを今後徐々に失うことになる。高効率の石炭火力は残し、新たな建設も認めるとしているが、削減の目標年度である2030年までに1650億キロワットアワーを別の電源で発電するか、節電・省エネで凌ぐ必要がある。

代替できる可能性のある電源は高効率の石炭火力発電、LNG火力発電、水力発電、原子力発電、風力発電、太陽光発電、地熱発電、バイオマス発電などであるが、あと10年でとなると風力発電と太陽光発電を中心に考えるしかない。LNG火力発電、高効率石炭火力も建設可能だが、LNG依存偏重を避けることと二酸化炭素問題から検討対象から除外した。

1650億キロワットアワーを風力発電と太陽光発電で、それぞれ825億キロワットアワーで代替すると仮定すると、この発電量は2018年に風力発電が発電した76億キロワットアワーの約11倍にあたる。また、太陽光発電が発電した740億キロワットアワーの1.1倍にあたる。今ある設備に風力発電はさらに11倍の設備を追加し、太陽光発電は現在とほぼ同じ大きさの設備を2030年までに建設する必要がある。これが可能かどうかを風力発電協会と太陽光発電協会の2030年予測によって見てみよう。 

まず、風力発電協会の提示する2030年の中期累積導入目標では、その年には3620万キロワットの風力発電設備があり、年間810億キロワットアワーを発電することとしている。(2050年には7500万キロワットの設備で年間1880億キロワットアワー) 低効率石炭火力の代替として期待した825億キロワットアワーに近い数字になっている。

続いて、太陽光発電協会の2030年の累積導入目標では1億キロワットの太陽光発電設備があり、年間1232億キロワットアワーを発電することとしている。(2050年には3億キロワットの設備で年間3927億キロワットアワー) 低効率石炭火力の代替として期待した825億キロワットアワーを150%達成することになっている。

念のため、発電コストも確認したところ、風力発電は2030年時点で7.9円/キロワットアワーとなっている。また、太陽光発電は2030年時点でメガソーラーなどは7円/キロワットアワー、家庭用などで10円/キロワットアワーとなっており、低効率の石炭火力と遜色はない。今回、エネルギー基本計画を見直すに当たって、各方面から再生可能エネルギーのシェアを従来の22~24パーセントから大幅に引き上げ40パーセント程度まで引き上げるべきであるとの意見が出ているが、それほど無茶な話ではなさそうだ。

風力発電や太陽光発電の出力不安定さをカバーするための超伝導を使ったフライホイールなどの蓄電設備なども検討しているようだが、コスト面でどのようになるかはわからない。揚水式水力発電の活用、発電端と消費端での蓄電池の設置、地域をこえた連係送電線の整備などが再生可能エネルギー大量導入の鍵となりそうだ。

(参考)風力発電協会のホームページの資料より

資源エネルギー庁「コストダウンの加速化について」2018年9月12日付資料より

太陽光発電協会ホームページの資料より

太陽光発電協会のJPEAビジョン・PV OUTOOK 2050
感染症の危機を乗り越え、あたらしい社会へ「太陽光発電の主力電源化への道筋」より

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