日本エネルギー会議

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再生可能エネルギーの死角

新たな主力電源として将来を期待されている再生可能エネルギーだが死角はないのか。再生可能エネルギーは自然を利用しているが、そこに問題が出る可能性が高い。自然現象はいつでも適度なものばかりとは言えない。風を利用している風力発電所で強風のためにタワーが倒壊するなどの状況が起きている。東日本大震災で経験したように突然大地震が広範囲に起き、とんでもない大津波が襲ってくるのが大自然だ。

再生可能エネルギーの中心となる太陽光発電にせよ風力発電にせよ総じて従来の火力発電や原発のような重厚な設備と比較すれば脆弱なものが多い。辺境の地から大消費地までの長い送電線もある。火山の噴火による火山弾の直撃、降灰、地震による地面の崩壊、巨大台風、竜巻、砂嵐、雹(ひょう)、森林火災、洪水や津波など。最近、それらの記録が塗り替えられることが多く、強さだけでなく発生頻度も増えている。全国各地で風力発電所の倒壊や羽根の破壊、太陽光発電設備の水没などが起きていることが報告されている。設備が簡単なものであるから、テロなども容易に攻撃を仕掛けて停電を起こすことも出来る。再生可能エネルギーは範囲が広い場合が多く防御が難しい。メガソーラーや風力発電所は数百メートルに及ぶ巨大なもので、そのメンテナンスは大仕事である。技術的には可能であっても資金的には出来なくなる可能性がある。

その他、太陽光発電協会では、会員に対して水害時の感電の危険性、火災、落雪事故、反射光トラブル防止などについて注意を喚起している。太陽光発電も風力発電も住民にとっては景観破壊、自然破壊だ。野鳥や野生動物への影響、特に風力発電のバードストライクの問題があり、環境アセスで計画が頓挫したり、稼働後に止められたりするリスクがある。すでに各地で反対運動が見られ送電線建設についても反対が多い。

まだ知られていない原因で健康障害が起きる可能性もある。風車の起こす低周波の騒音、太陽光パネルの反射光や熱も近くに住宅地や別荘があると問題になる。先々これらの問題が補償や規制強化の対象となる可能性がある。廃棄物はどうなるのか。現在はまだ建設が盛んであるが、10~20年後には大量に寿命を迎え大量の廃棄物が発生する。すでに廃棄に関するガイドラインがつくられているが、コストもかかるだけに放置されないようにしなければならない。

しかしなんといっても最大のリスクは出力が不安定なこと、稼働率が低いことだ。これは発電の原理にかかわることなので根本的には改善出来ない。そのことをよく認識しておかないと、大量の再生可能エネルギー設備を抱えてまったく発電が出来ない、あるいは消費地に送れないという事態になりかねない。バックアップ電源や蓄電などの備えをしておかないと安心して使えない。特に今はすべてが電気で動いている世の中である。停電はおろか周波数の変動でさえ大きな障害を起こし社会を混乱に陥れる可能性がある。このための対策は多重化しておかなければならず、手抜きをすれば痛い目に遭うことは必至である。  

この点はかつての9電力の地域独占体制では、「停電を起こしてはならず、起こしてもすぐに復旧しなくてはならない」がすべての電力マンの遺伝子として連綿と引き継がれてきた。果たして利益を求めて新規参入してきた企業が多いなかで、社会的責任がどこまで意識されているかは正直不安がある。

いままで開発された再生可能エネルギーは、従来の水力、火力、原子力などを手がけた大手電力会社、商社、ゼネコン、地方自治体と違って事業主体が弱小なものもあり、資金的、人的に不安があり倒産した例もかなり出ている。高い固定価格買取が先々まで続くなど、政策の失敗でせっかくの再生可能エネルギーが逆に消費者の負担になるなど政策面でのリスクも考えなくてはならない。今はもてはやされている再生可能エネルギーではあるが、主力電源化をするのであれば、消費者や納税者の立場になって、その問題点を事前に徹底的に洗い出して対策をしていかなければならない。

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