日本エネルギー会議

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信頼を失う言動

原子力委員会の岡芳明委員長は繰り返し原子力安全に対する国民の信頼について述べている。昨年の7月26日メールマガジンには「リスクコミュニケーションと原子力安全に対する国民の信頼」と題して「何度も繰り返すが、コミュニケーションの目的は信頼構築である。これを念頭に、論理的に考えればこのことが理解できるはずである。日本は集団主義で責任・役割分担の考え方が曖昧なこと、原子力技術者がコミュニケーションの心理的側面を理解していないこと、上意下達の意識が残っていることなど、日本特有の原因がこの問題の根底に有ることに気が付いてほしい」とある。

日本原子力産業協会の今井会長が今年の年頭挨拶で、「将来にわたって日本のエネルギー供給を支えていくためには、原子力発電が欠かせません。このため、低炭素、長期的経済性、安定供給といった原子力発電が持つ価値を産業界全体で丁寧に伝え、国民の理解と信頼を得ていくことが必要であります。」と発言している。

梶山経済産業大臣が6月に「原子力関連施設が立地する青森県の4つの自治体の市町村長と会談したあと、記者団に対し「4つの市町村には国の原子力政策において多大な貢献をいただいている。いま原子力は信頼を失っているが、気候変動の問題もあり二酸化炭素を排出しない原子力発電の意義は大きいと思っている」と述べた。(いずれもアンダーラインは筆者)

東北電力の今年の株主総会は仙台市内で開かれ、一部の株主らが提案した原発事業からの撤退や他の原発事業者に対する支援の禁止などを定款に加えるよう求める6議案はいずれも反対多数で否決された。総会では東北電が再稼働を目指す女川原発2号機の安全対策工事の完了時期を2年延期することをめぐり、株主から工事費の見込みが3400億円で変更がないことに疑義が呈された。東北電力側は「追加対策などで(工事費は)増加する一方、設計の最適化や調達面での工夫などによる効率化を進めており現時点で変更はない」と説明したが、これでは説得力がない。当初の設計や調達がいい加減だったのか。これだけ増加するが原発再稼動は必要なので仕方がないと判断したと言うべきだ。その方が信頼を得られるだろう。

日本原電東海第二原発の発電コストについても、これだけ再稼働が遅れれば当然上がるはずだ。しかし、いまのところ経済性があるとしており不自然だ。何パーセント発電コストは上がるが、原電の経営を継続させるため、二酸化炭素削減のため、首都圏の電源確保のために再稼動の必要性があると説明したほうが信頼されよう。

いままで業界はどうすれば信頼を得られるかを模索してきたが、「どうすれば信頼を失うことになるか」を研究してそれを絶対にやめることにしたらどうか。何かをやるというのは勇気も知恵も必要だが、これだけはやらないようにしようというのはやれそうな気もする。集会でサクラを使って発言させたり、総会を数で押し切ったり、地元と不可解な金銭のやり取りをすればすぐに信頼が吹き飛ぶ。どんな例があるかは原子力業界に限らず、政界、財界、学界など探せば事欠かないはずだ。

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