日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

再生可能エネルギーを使いこなす

第5次エネルギー基本計画には「再生可能エネルギーを主力電源化する」と書かれている。最近、経済同友会が現在の計画は、2030年の電源に占める再生可能エネルギーの割合を22~24パーセントにしているが、これを40パーセントにすべきだと言い始めた。背景に、現在の目標は達成が確実であり(30パーセントは行くという見方もある)、石炭火力廃止に向けた国際世論が強まりつつあることがある。

再生可能エネルギーのほとんどを占める太陽光発電と風力発電はともに気象任せで出力が不安定という大きな問題点を抱えている。ソーラーパネルは日暮れとともに発電しなくなる。需要の方は朝夕にピークがあるのでミスマッチする。雨が降れば発電量はガタ落ちだ。風力発電も稼動率は太陽光発電の2倍あるが不安定で台風など風が強すぎてもだめだ。とても需要カーブに合わせて発電することなど出来ない。そこで揚水式水力発電所にエネルギーを貯めて必要な時に出して使うことをやっている。それでも補えない場合は火力発電で需給バランスをとっている。

AP通信とブルームバーグ電子版は、ここ数十年で最も過酷な部類の熱波に見舞われているカリフォルニア州で8月14日夕方に輪番停電が生じたと報道した。影響を受けた人は200万人。原因は再生可能エネルギーのシェアが大きくなりすぎて突然の出力低下をカバーしきれなくなったようだ。他の地域からの援助をもらえなければ終わりだ。かつて四国電力は会長の指示で伊方原発建設と同時に大規模な揚水式水力発電所を建設した。四国は需要規模が小さく、大出力の原発が停止したときに四国全体が停電しかねないからだ。独占体制であるがゆえに、絶対に停電はさせられないという意識が電力会社に浸透していた。

今後、太陽光発電や風力発電が増えて電力供給の半分以上になると出力の不安定さをカバーするために太陽光発電と風力発電を合わせた出力と同等の火力発電、水力発電などを準備しておかねばならず、これらのほとんどはいつも半分以上停止しているという割に合わないことをしなくてはならなくなる。

この問題の解決方法は二つ考えられる。ひとつは再生可能エネルギーの側で揚水式水力発電所や蓄電池などを思い切って増設して出力を安定させることであり、もうひとつは需要のカーブを再生可能エネルギーの出力に合わせてコントロールすることである。現在は余った再生可能エネルギーによる電力は送電線への接続抑制をして実質的に捨てているが、なんとか活かす方法を見つけるべきだろう。 

メガソーラーや風力発電所に十分に大きな蓄電池を併設したり、揚水式水力発電所を建設したりするには巨額の費用と時間がかかる。これに対して各需要側で需要をコントロールする方法は実現性が高い。例えば需給状況によって料金が細かく変動する料金制度にすると、朝夕の時間帯は料金が高くなる。(アパホテルの料金が予約状況で刻々変化しているように)また気象状況によって日照、風力の変化で料金が変化する。すると消費する家庭や事務所側は自発的に蓄電池を設置して安い時に電力を使うか貯めるようになる。既にGoogle社では大量の電力を使用する計算は電力需給を見て電力が安いときにやっている。高くなった時には使用を抑えるか蓄電池から引き出して使う。蓄電池は貯金箱のような役割をすることになる。輪番停電で痛い目にあったカリフォルニアでは家庭用あるいは事務所用の蓄電池が流行るだろう。例えばテスラ社のパワーウォールという商品(蓄電容量は13.5kWh。価格は100万円以下、最大10台連結可)が発売されている。だが、金持ちだけが停電を免れるというのも問題だ。

こうした需要側で出力を安定させる努力がなされれば、従来の電源は再生可能エネルギーの不安定さに振り回されずに済み、余分な設備も持たず稼動率も確保出来る。再生可能エネルギー側も接続抑制などされずに済む。供給側の満足、需要側の満足、そして災害にも強いという「三方良し」が実現出来る。再生可能エネルギーの主力電源化を阻む壁は、性能がよく安価な蓄電池の普及によって乗り越えるのが一番よい。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter