日本エネルギー会議

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最終処分場の問題

寿都町の片岡町長が高レベル放射性廃棄物の最終処分場の文献調査に応募する考えがあると報道されてから3週間経った。この間、梶山経済産業大臣から歓迎のコメントがあったが、予想されたとおり地元は議論百出、9月には応募を決めたいと言っていた町長はそれを先送りすることにした。東洋町が手を挙げかけて以来、一歩も動かなかった最終処分場問題が久々に話題になり、国も電力会社もなんとか種火を消さないようにしたいと思っているに違いない。

六ヶ所村の日本原燃に行くために三沢空港からタクシーに乗ったら、運転手が「廃棄物でもなんでも積極的に受け入れないと他のところに持っていかれる」と話すのを聞いて、地元ではそういう本音を持っている人が結構いると感じた。しかし、それは原発にせよ、再処理工場にせよ既に立地して生活がかかっている人の話で、まだ、立地が決まっていない場所では、そのような人は稀有な存在だ。原発の建設候補地の人々を運転している発電所に案内して、地元の人々から体験談を話してもらったり、質問を受けてもらうとことを昔はよくやっていた記憶がある。寿都町は泊原発から近いため、原発のあることによる恩恵について話が伝わっている可能性もある。

この問題のポイントは「時間の長さ」ではないかと私は考えている。人の最長寿命の100年までなら今の現役世代が事を決めてもよいが、それより先、まして何万年もとなると誰も責任が持てない。1万年前の古代人の遺跡を発掘している人が、いままでに古代人が書いた「危険。触るな」という文字でも印でも見つけたことはあるだろうか。いまから1万年後に誰かが掘り返さないとは限らない。後の世代に対して無責任なことはやってはならないと考える人がいても不思議ではない。

この問題は1997年に中国が外交・防衛を除く分野で高度の自治を50年間維持すると約束して英国から返還された香港のように、当面100年間に限って高レベル放射性廃棄物を保管して、さらにその先をどうするかの判断を世代間リレーしていくべきではないか。それなら無責任ではないと賛成する人も多いはずだ。現在、六ケ所村が日本原燃構内に高レベルガラス固化体を置いているのを認めているのは、県と日本原燃の間で50年間という期間を限定しているため最終処分地にはならないとの安心感があるからだ。知事は大臣が代わる度に東京に行き50年後の搬出を確認することにしている。それだけ期間限定の安心効果が大きいのだろう。

この考えは、多くの原発立地自治体の首長に採用されており、福島県知事は福島第一原発第二原発の廃炉は認めたが、廃棄物は県外という条件だ。大熊町双葉町の中間貯蔵施設の除染で出た土壌についても県外搬出を条件にしている。
最終ということはもう風評被害が永遠に続くということだ。最終処分場は運転が終了したら解体して高レベルな放射性廃棄物はどこかに持っていくという原発の立地とは決定的に違う。原発最終処分場はいつの日か定まるであろうが、それまでは「最終」は取るべきなのだ。

フランスでは地層処分の条件に、より良い処分方法が見つかった時のために再度取り出せるようにすること、半減期の長い放射性廃棄物の焼却研究を続けることを付しているが、これも「最終」の悪いイメージを和らげる効果がある。

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