日本エネルギー会議

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差別とその原因

福島県では原発事故から10年になるいまでも避難者が差別されている。最近聞いた話では、農繁期限定の仕事を見つけて働きに出た避難中の女性が、女ばかりの職場で楽しくやっていたが、ある日避難しているとわかったとたん、職場の誰からも口をきいてもらえなくなって仕事をやめた。避難者はスーパーでたくさん買い物をしたときレジで大きな金額が出ると後ろに並んでいる人の反応が気になる。また、病院で自己負担免除の証明を提示して会計を済ますときも会計係の顔色をうかがう癖がついている。避難してしばらくの間にあった「いわきナンバー」の新車が傷つけられたり、飲食店で他の客からいやみを言われたりする明白ないじめこそ聞かなくなったが、避難者同士も会話をしながら腹の探り合いをするなど陰湿な雰囲気はなくならない。

避難者に対するさまざまな税などの減免措置や補助が今でも続いていることが一般の人たちにも知られるようになったことが差別される原因のひとつだ。避難指示が解除されるまで、区域の人たちは健康保険税と自己負担を免除されつづけた。帰還困難区域からの避難者は10年たった今でも適応されている。人によって所得が違うので税額や負担金額は違うが、保険税だけで年間20~30万円は助かっている。病院の窓口で自己負担免除証明書を見せるので窓口で免除されていることが分かってしまう。避難直後、いままで金がかかるので出来なかった歯の治療を免除されている間にやると言っていた人もいた。介護保険料についても自己負担を含め無料となっている。これは少なくとも年間10万円程度助かっているはずだ。既に区域が解除され免除がされなくなっている元避難者もたくさんいるのだが、それは一般の人には区別出来ない。

避難先で仮設住宅や借家(いわゆる見なし仮設)に住んでいる避難者は、この10年間、毎月6万円を限度とする補助を受けている。家賃補助を切られた自主避難者から見ると大きな差を感じるはずだ。避難指示が解除されると一年後に免除はなくなる。避難者は早急に除染を終わらせ区域の解除をしてもらいたいと言いつつも、解除されたらとたんに生活レベルを見直さなくてはならないのは必至。「今、解除されたら年金から健康保険と介護保険を引かれて生活出来なくなる」というのが本音だろう。

他にもNHKが、避難者に対して受信料(年間一括で13990円、BSの24770円の全額免除をしている。解除後1ヶ月で免除がなくなる。高速道路は有効期限1年間の「ふるさとカード」が毎年3月に配布されている。これを料金所で見せると乗り降りが福島県内のインターチェンジの場合、全額無料になる。例えば郡山から仙台まで行くと理由は問わず(単に遊びに行く場合もという意味)片道3500円。往復で7000円がタダになる。カードは何回でも使え、日本全国どこでも行ける。この配布対象は広く、事故当時避難指示が出た区域に住民票があった人に配布されている。例えば数年前に解除されている南相馬市の住民にもいまだにカードが配布されているのだ。

賠償がさかんに行われていた事故から数年間は、避難先の住民の嫉妬は精神的苦痛に対する賠償(子供まで対象で一人当たり700万円{居住制限区域}~1450万円{帰還困難区域})や、古い家に対しても新築が可能な家屋の補償などであったが、今は一般の住民にも知られるようになった減免措置や補助についての嫉妬も加わったようだ。

その背景にはこの10年で一般家庭の生活が相当厳しくなっている背景がある。先日も近くのスーパーに行くと以前とちがって肉といえば外国産ばかり。国産は少なく高級品として売られている。スープ付と麺が入っているラーメン(2人分)の袋になんと95円の値がついている。こんな安い商品は以前なかった。それも大量に並べてあるので売れるのだろう。避難者に口をきかなくなった仕事仲間からすれば、「楽に生活している避難者が、なんで日当稼ぎに来るの」と言いたいのだろう。

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