日本エネルギー会議

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福島第一原発の事故とは何だったのか(1)

東日本大震災・福島第一原発の事故から10年が経過しようとしている。新型コロナウィルス感染は収まると思えば再び感染者が増加する国や地域があるなどまだ先が見通せない。年が明ければメディアは震災と事故から10年というテーマで事故を振り返る特集をするようになり、それは来年の3月11日にピークを迎えるだろう。インタビューアーの質問の定番に「あなたにとって○○とは何ですか」という質問がある。事故から10年になるまでに、関係者は「自分にとって福島第一原発の事故とは何だったのか」という質問の答えを探しておかなければならない。

質問に答える前に、この質問は誰に向けられているかを知る必要がある。質問の対象はいろいろある。「あなたにとって」「福島県にとって」「日本にとって」「世界各国のエネルギー政策にとって」「原子力業界にとって」などが考えられるが、事故が起きた時にどのような立場にあったか、それまでの原子力への関わり方によって回答は大きく変わってくる。また、避難した人にとっては事故そのものより避難後の生活を振り返ることが多い。

福島第一原発の事故を機に原子力を将来のエネルギーの柱のひとつとしていた世界各国のエネルギー政策は大きく三つに分かれた。(経済産業省は下図で現在も将来も原発をやらない国を入れて四つに分類している)ドイツやベトナムのように脱原発に踏み込んだ国、日本、韓国、台湾のように現状は認めるが将来的には減らして行く国、中国、UAEのように依然として柱のひとつとして考える国である。廃止や減少とした理由は安全性向上のためのコストが高くなったことが大きい。日本のように数十年の運転実績と技術力のある国で過酷事故が起きたことも衝撃を与え、原発の安全に対する懸念を強めたようだ。

また、折しも太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの勃興期に当たったことも原子力に固執しない風潮を広げたと見られる。一方で温暖化防止のため運転中に二酸化炭素を排出しない有用な電源として活用する、従来の軽水炉に代わる小型で安全性も高い原発を開発する動きもある。福島第一原発の事故は「世界のエネルギー政策の見直し、原発の安全性向上のきっかけとなった出来事」だと言えよう。また、福島第一原発の事故をきっかけに各国がそれぞれの資源環境や地理的条件、さらには国民性により、従来のどこも似たようなエネルギー政策ではなく、自国に合った独自のエネルギー政策を取るようになったと見ることも出来る。

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