日本エネルギー会議

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地方経済の実態

最近、県内の状況が変わってきた。新型コロナウイルスによる経済活動の萎縮もあるが、根本的な経済の足腰の衰えが目につくようになってきた。先月、県庁所在地である福島市で駅前の老舗デパート「中合」が閉店した。これで福島県内のデパートは郡山市にある「うすい」だけになった。「うすい」も地元の資本だが、震災前から経営難で三越の支援を受けている。

復興景気と原発事故の避難者が浜通りから中通りに来たことで両店とも震災以降数年は賑わっていたが、とうとう厳しい状況になってしまった。「うすい」に限らず、復興期間に肥満体質になった県内企業はその分落ち込みを強く感じている。避難者も賠償で得た金を10年間使った結果、生活はバブリーになりそろそろ締めなくてはと感じている。

昨日も夕方のテレビ番組で「うすい」デパートの内部を映していたが、夕方とはいえデパ地下の食料コーナーに買い物客はまばら。催し物会場の北海道物産展もほとんど客がいない状態。飽きられてしまったのか、購買力がないのかは判然としない。私も避難して隣の須賀川市に来てからは月に二回程度は「うすい」に行っていたが、最近はコロナもあってほとんど足が向かない。番組ではデパートの社長まで出演していたがそこまでしたのは記憶にない。客離れがそれだけひどいのだろう。

福島県はくだもの王国で、福島市の西部にはフルーツラインと名付けられた道路があり、道端に果物農家が店を出して桃、ぶどう、なし、りんごなどを季節ごとに並べ多くの観光客を集めていた。磐梯吾妻国立公園のドライブに関東、東北の各地から来た人たちが帰りに土産に買っていくのである。ところが今年は元気がない。果物の表面に斑点があったり色付きがまばらだったりしている。いくつか買って食べてみたが甘さがなく出来が悪い。この状態は原発事故で避難してこちらに来てからしばらくして始まって年々悪くなっている。天候不順や洪水、台風の被害もあって農家も大弱りしている。福島県の魅力がひとつ失われた感じだ。

果物だけでなく野菜も同じで、価格の割に小さく、おいしいものが少ない。もともと農作物は豊富なところだったが、スーパーに行くと中部や九州などから入荷したものも多くなっている。ついでに魚や肉も値段は上がっているのに質が低下している。コロナのせいで外食は減っている。素材を買って調理をしないのかパック入りの惣菜売り場がどんどん拡大している。1パック数百円するのだがそれを買っている人が多いようだ。

報道ではGOtoで賑わっているような内容が多いが、人々の生活の水準は明らかに低下し、商売もうまくいっていない。消費者物価も食料品を除くので、人々が物を買い控え高い食料品で苦労していることがわからない。日銀福島支店はこれからの景気動向に厳しい見方を示しているが、商業施設から撤退する店も増えて地方の経済活動は回復する気配がない。数字なしの「路地裏の経済学」で見る限り、これはコロナの問題ではなさそうだ。どうやら多くの人々は食べるのに精一杯の状況まで追い込まれているようなのだ。

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