日本エネルギー会議

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ソーラーパネルと棚田

太陽光発電は現在、最も拡大している再生可能エネルギーだが問題も少なくない。メガソーラーの周辺の住人は眩しさや暑さの被害を受けている。最大の迷惑は避暑地などでの景観の悪化だ。前首相が「美しい日本」を目指したが、現状は相変わらず都会も田舎も醜悪な建物や広告がいたるところで自然の景観を台無しにしており、それにメガソーラーが加わろうとしている。

昔から人々の土地利用によって利益を得ようとする熱意は強く規制は後追いだ。前首相は「息を飲むような美しさ」と故郷の棚田を絶賛したが、棚田も作られ始めた当時は醜悪なものと捉えられていたかもしれない。昔の人々はコメの収量を多くしたいため、大変な苦労をして山の斜面に石垣をつくり、何代もかけて田んぼを拡張してきた。浜に広がる塩田も美しい。作物がつくれない海岸の土地を塩田にして太陽光で塩をつくり、それを売って生活していたのである。

棚田も塩田も美しいものをつくろうとしたわけではない。生きるため金儲けのために造られたのだ。100年後に首相になった地元の政治一家の坊ちゃんはそんな先祖たちの意図や苦労も知らずに棚田の美しさに感動している。

現代においては企業が金儲けを目的に山を崩し、谷を埋めてゴルフ場を造る。ゴルフブームが去り、経営が続けられなくなるとそこにメガソーラーを建設して利益をあげようとする。田んぼをつくるのとなんら変わりはない。福島第一原発の周辺で避難解除された土地はいま官民のメガソーラーがたくさん作られている。相馬の海岸につくられたメガソーラーは、かつての松林を知る人にとっては見たこともない異様なものだが、孫の代になれば、一面のメガソーラーを観て「息を飲む」かもしれないのだ。

日本が高度成長時代に海岸の景観を壊したのが石油化学プラントだ。煙突から勢いよく立ち上る黒煙白煙が頼もしく見られた時代もあったが、次の世代には公害の発生源として概ね見苦しいものと思われた。今の若者たちはタンクや配管が立体的な造形となっているプラントを美しいものとして評価し、わざわざ夜景を撮影に行く。今始まったばかりの太陽光発電用の広大なパネルが美か醜かは、将来の世代が決めるだろう。

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