日本エネルギー会議

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福島第一原発の事故とは何だったのか(5)

福島第一原発の事故が起きた瞬間にかつてない大きな影響を受けたのが国民の原発に対する見方だった。福島県民はその典型である。県民は国や東京電力を非難するとともに自らも反省した。その結果、ほとんどの県民が福島県にはもう原子力は一切いらないという気持ちになった。県民は他の地域における「地元は原発再稼働に期待」のニュースには冷淡な反応である。

事故後も富岡町や楢葉町には生活のためには福島第二原発は存続させるべきだと発言する人もいたが、その声は圧倒的な人々の声によってすぐにかき消された。除染で出た放射性物質を中間貯蔵施設を原発周辺に造ることは認めたものの、30年後には県外搬出を要求して国に約束させた。科学的合理的な考えに立てば、県知事は事故後に改善された原発の安全性と原発のあることによるメリットを評価して福島第二原発を存続されることは認めてもよいものだが、そのような判断は県民の思いの前に消え去り、東京電力が福島第二原発廃止を宣言するまで、知事は執拗に福島第二原発廃止の要求を続けたのである。

全国的にも、もう原発はいらないという考えは福島第一原発の事故で根付いた。この考えの人は将来的にさらに安全性が高まる、あるいは原発が停電回避に不可欠だという状況になっても考えは変わらないと思われる。

原子力文化振興財団のアンケート調査結果をみると、事故後、年と共に「震災以前の原発の状況維持していくべき」が増え、同じ数だけ「原発は即刻廃止すべき」が減っていると財団は解釈しているような表示がある。

しかし、よく見ると、「原発は徐々に廃止していくべき」は同じ数を維持し続けていることがわかる。危険は何にでもあり、絶対安全はなく程度問題なのだが、福島第一原発事故のようなことが起きてしまうとその損害の大きさに人々はたじろぐ。メリット・デメリットを比較する冷静さは失われ、改善後の状況はなかなか受け入れられず、「原発は徐々に廃止していくべき」を選択する。こうした考えの人々を産みだし岩盤層にしてしまったのが福島第一原発の事故である。

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