日本エネルギー会議

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太陽光発電のバックエンド問題

バックエンドは原発の弱点として語られるが、再生可能エネルギーについてもバックエンドの問題が存在する。特に現在数の多い太陽光発電は廃棄する場合、セレン、カドミウム、ガリウム、ヒ素、鉛など有害物質を含んだ大量のガラスが発生する。これらは原発の廃棄物と違って放射線は出さないが、半減期もないため永久に有害だ。

パネルの寿命は25~30年程度とされているので適切な処理が必要だ。FIT導入以後に建設された太陽光発電設備は2040年頃までに廃棄物が出てくる。原発の使用済み燃料のようにリサイクルできるのか、リサイクル出来ないものは確実な処理処分は考えられているのだろうか。

捨てられたソーラーパネルは「産業廃棄物」として扱われ、パネルが発電しなくなっても一般ゴミとして自治体に回収してもらうことはできない。パネルメーカー側がきちんと情報開示をしていないこともあって、将来的な廃棄を想定して廃棄やリサイクル費用を確保していない事業者が多いようだ。

実際、有害物質の有無を知らないまま産業廃棄物処理業者に回してしまい、不適切な処理が行われるケースもあるようだ。3年前に行った総務省の調査では事業者の約8割が有害物質情報を提供していないと回答。また、産業廃棄物処理業者も受け入れ時に確認をしていないという回答が6割もあった。太陽光パネルが国産だけでなく、海外メーカーのものも多数流通していることも原因のひとつと思われる。  

太陽光発電設備の廃棄については適切な処理が行われるよう2017年に新たな基準が設けられた。それによれば、事業者に設備の撤去や廃棄費用の計画を作成すること、廃棄まで考慮した運営が行われるよう義務付けられた。翌年には、撤去や廃棄の計画を立てることに加え、積立の開始時期と終了時期、毎月の積立計画などの項目が追加されている。また、定期報告の義務化をすることで国が進捗状況を把握できるようになり、必要に応じて、指導や改善命令などが行われている。

調達価格のうち「資本費の5%を廃棄等の費用として計上し、積み立てる」という努力義務が設けられているが、実行している事業者はほとんどいない。廃棄の費用は1kWあたり1.7万円が相場とされている。経産省によれば低圧(50kW未満)のうち、積立を行っているのは14%、高圧(50kW以上)では26%となっているので、費用面の準備はあまり進んでいない。太陽光発電の事業者は原発のような大企業が少なく、倒産するケースも多いようでこれからも心配な点だ。

今から20年後、大量廃棄のピークが来ると最終処分場がひっ迫するリスクも懸念されており、そうならないよう対応が必要だ。また、パネルのリサイクル事業も育成してガラスや銀など有用物を回収するようなシステムをこれから構築しなくてはならない。太陽光発電協会のような業界団体も適正な廃棄について自主的な取り組みを進めているようだが、ソーラーパネルの廃棄物が社会問題にならないようにしなくてはならない。とかく再生可能エネルギーが次世代の主力電源ともてはやされているが、こうした問題についても今からきちんと対処しておくことが、将来、本当の主力電源となるために必要なことである。

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