日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

これからの電力需給の形

電気事業が始まって以来、電力需給は需要が主人であり供給が従者であった。供給側は常に需要曲線を追いかけて必要とする電力を送らねばならない。しかも他の商品の需給とは異なり、瞬間瞬間に需給がピッタリ同量である必要がある。失敗すれば停電する。9つの電力会社は給電指令所から火力発電所や水力発電所に指示を送って発電機の負荷を需要に合わせて細かく調整し続けていた。また、供給量が大幅に余ったり不足したりする事態に備えて揚水式水力発電所などに電力を貯蔵しておき、需要に合わせて電力を取り出すことが行われている。また、それでも補えない場合は、他の地域から連係線を通じて送電してもらうことや大需要家に対して電力使用制限を行って同時同量を維持して停電を回避してきた。
近年のように太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーが増えてくると、自然のゆらぎで出力が不安定になり、しかも負荷に追従することが出来ないため火力発電所の出力増減依存が過剰になり、揚水式水力発電所による調整も限界になっている。そこで街を走る電気自動車に搭載されている蓄電池を蓄電池代わりに使おうという試みが最近、電力会社によって行われている。また、多数の家庭の蓄電池の蓄電・放出を遠隔で管理したり、普及したエコキュートの炊き上げ時間を遠隔操作で変更したりすることで電力需要をコントロールすることにも電力会社が挑戦している。

インターネットやブロックチェーンなど情報技術や蓄電池が急速に進歩したこと、比較的大きな蓄電池を搭載している電気自動車が普及し始めたことで、需要を発電状況に合わせて意図的に増減させることで同時同量を達成させることが可能になりつつある。同時同量の原則は変わらないが、伝統的な供給側が一方的に需要に従う電力需給方式が絶対ではなくなっている。
また、短時間ではなく長期間の需給のアンバランスに対しても揚水式水力発電や大型蓄電池以外の方式の技術開発が世界中で行われており、それらのニュースは大変興味深い。そのうち火力発電に対して「長いあいだご苦労様でした」と言える日が来ると思う。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter