日本エネルギー会議

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福島の新産業

福島イノベーション・コース構想とは、東日本大震災及び原発事故によって失われた浜通り地域の産業を回復するために、新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトだ。主要プロジェクは廃炉、ロボット・ドローン、エネルギー・環境・リサイクル、農林水産業、医療関連、航空宇宙となっている。2018年4月に総理大臣から福島復興再生特別措置法の重点推進計画に認定され、翌年1月に福島イノベーション・コースト構想推進機構が現地に設置されて計画はスタートした。開始から既に3年経過したこの構想が現在どのようになっているかを調べてみた。
福島第一・第二原発のあった福島県浜通り地域にはこの構想の核となる施設が次々に建設されている。()内は働いている人数

浜通りにあるもの
南相馬市 福島ロボットテストフィールド(30)
浜地域農業再生研究センター(20)
浪江町  福島水素エネルギー研究フィールド(10)
大熊町  大熊分析・研究センター(100)
富岡町  廃炉国際共同研究センター(38)
楢葉町  楢葉遠隔技術開発センター(60)
いわき市 水産海洋研究センター(50)

浜通り以外にあるもの
福島市  医療-産業トランスレーショナルリサーチセンター(60)
郡山市  ふくしま医療機器開発支援センター(55)

働いている人数は合計で423人。研究開発に関わっている人数は意外に少ないが、次のような取り組みによって影響の拡大を狙っている。

産業集積     企業誘致と地域内外企業による研究開発成果の事業化
         産業団地の整備や企業立地の促進
教育・人材育成  キャリア教育による浜通り地域の技術者の育成
交流人口の拡大  交流人口の増加による浜通りの人口減少の補完
情報発信     構想の認知度アップや県民の参画促進
生活基盤の整備  高速道路など地域の公共インフラ整備、充実

「施設がオープンした」、「イベントが行われた」、「企業誘致が決まった」などの情報は散発的にメディアで伝えられ、自治体の広報誌にも出ているが、構想全体がどの程度進み、雇用の増加や生産額の増加など、どのような成果を挙げているかは発表されておらずメディアが報じることも少ない。

産業集積を狙った企業誘致と地域内外企業による研究開発成果の事業化が浜通り地域の雇用増加、居住人口増加の鍵になる。浜通りの市町村の工業団地づくりは、全国的な工業団地ブームの去ったあとにスタートしたために震災・原発事故前は大いに苦戦していたが、今回は国の復興計画というパワーを使って企業誘致などに成果を挙げている。県のイノベーション・コースト構想推進室によれば、浜通りの工業団地は8~9割埋まり全体で4296人の雇用が期待されるという。

復興予算を割り振っている復興庁や経済産業省は県にどのような報告を求めているのか。国の復興事業においてPDCAをきちんと回し、その結果を公表しなければ、国民が復興の状況を正しく知ることは出来ない。

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