日本エネルギー会議

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さらに詳細な調査を

今年、慶応義塾大学の医学部と東京歯科大学の医学部が統合した。その理由が18歳人口の急減を見越して両校の経営が健全なうちに統合した方がよいというものだ。定員不足で経営が苦しくなってからでは統合する力もなくなってしまう。手遅れになると両方とも潰れてしまう。元気なうちにやればなんとかなるという。原発の建設や運転に関わるメーカー、工事会社についてもこのような統合が行われなくてはならないと考えていた時、東芝や三菱の傘下で蒸気発生器など製作していた川崎重工が原子力から撤退するとのニュースが流れてきた。

日本原子力産業協会が今年、会員企業を含む原子力発電に係る産業の支出や売上、従事者を有する営利目的の企業を対象に実施した「原子力発電に係る産業動向調査」の報告書は次のような事を指摘している。
・原子力関係従事者数は前年度とほぼ同じだった。
・福島第一原子力発電所事故以降、景況感の回復はしていない。
・原発の運転停止に伴う影響として「技術力の維持・継承」(59%)、「売上の減少」(58%)がある。
・「技術力の維持・継承」に係る影響として「OJT機会の減少」が最も多く、この他、雇用の確保や企業の撤退に伴う技術・ノウハウの散逸などがある。
・他社の撤退による影響を受けている、または受ける恐れのある主な分野としては、「技術者・作業者」(38%)、「素材・鋼材」(23%)としている。

原子力産業界はこの報告書に基づいてさらに詳細な調査をする必要がある。  「設計」「製造」「運転」「メンテナンス」のどの部分が弱体化しているのか、「人材」だけでなく、「製造設備」「部品や原材料の在庫、供給源」「手順書、図面やノウハウを含む資料」「工具」「ライセンス」などについても詳しく調べる必要がある。どれが抜けても将来のメンテナンスや建設には欠かせないからだ。原発はそれぞれ設計、製作が単品生産であり、部品についての原発間の互換性は少ないものである。

設備についても各原発の主要なコンポーネント単位で、製造、点検、修理が今後とも可能であるかを調査し、もし不足するようであれば対策をすぐにでも講じておかなければならないだろう。その調査と指示は原発の所有者である電力会社から出されるべきで、メーカーまかせ、下請けまかせではだめだ。今後、40年を超える運転をするに当たって原子力規制庁はその点も含めて審査するくらいの周到さが必要だ。

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