日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

EV拡大による電力需要への影響(1)

政府は2050年に二酸化炭素排出を実質ゼロにすることを決めた。この目標を達成するため2030年代にガソリン車・ディーゼル車の販売を止め最終的には全ての自動車を電動化あるいは水素化することになる。
ところがEV化すればEVに充電するための電力需要が増え、温暖化対策として火力発電を止めなくてはならない中で電力供給が間に合うか、需要ピーク時には不足するのではとの心配がある。
100パーセントEV化した場合、電力需要はどの程度増加するかを調べるには、現在自動車が年間どの程度の石油を消費しているか(A)を調べ、それによって国内のすべての自動車の年間走行距離(B)を算定する。そしてその距離をEVで走ったと仮定した場合、どの程度の電力をEVが消費するか(C)を調べる。その消費量が年間の電力の総需要(D)をどの程度押し上げるかを計算すればよいと考えた。この方法が妥当であるという前提で計算すると次のようになる。
(A)石油の年間使用量約2億4000万キロリットルの38.4%を自動車 の燃料として使用している。(下図1参照)
=2億4000万キロリットル×38.4%
=約9200万キロリットル

(B)自動車は1リットル当たり10キロメートル走行出来る
(すなわち1キロリットル当たり10000キロメートル)と仮定して
=9200万キロリットル×10000キロメートル
=9200億キロメートル
注)交通省の統計によると、自家用の乗用ハイブリッド車でさえガソリン1リットルあたりの実際の平均走行距離は約15.9km。普通のガソリン車やディーゼル車は1リットルあたり平均10キロメートル程度と考えられる。

(C)電力1キロワットアワー当たりEVが5キロメートル走行するとして
=9200億キロメートル÷5キロメートル
=1840億キロワットアワーの電力が年間に必要。
注)EVのバッテリーの1キロワットアワー当たりの「走行距離」は6キロメートルとされている。使用環境(気象、渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて異なるため、公正取引協議会により一般的な電気自動車の電費として定められている。ここでは控えめに5キロメートルとした。

(D)EV化による年間1840億キロワットアワーの電力需要増加は、日本の年間電力需要である約1兆キロワットアワー(図2参照)に対して18.4%。ざっと2割増と考えて良いだろう。
   
石油1キロリットルを内燃機関で燃やすガソリン車と火力発電で電気に変換してEVで使う場合、EVの方が3~4倍効率がよいので、その分、電力需要への影響は少なく済む。


電力需要のピーク時への影響とその対策については次回に。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter