日本エネルギー会議

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不安をバラまく冊子

福島県双葉郡の富岡町が昨年9月から2ヶ月に1回、各世帯向けに配布している6ページ、カラー版の冊子「ライフとみおか」の最新号が先ごろ避難先に届いた。サブタイトルに「放射線情報まとめニュース」とあり、毎号、町内の放射性物質濃度の現状、長崎大学のリスクコミュニケーション、Q&Aなどが主な内容だ。編集は富岡町役場健康づくり課となっている。

8号のトップ記事は、町内の川や海における放射性物質濃度の現状について
町の中央を流れる富岡川の上流から河口までの6ヶ所の水の測定結果を表で示している。測定したのはセシウム134とセシウム137で、河口付近のセシウム137の0.64Bq/Kg以外はすべてNDとなっている。
続いて富岡沖で採取された魚、富岡川で採取された魚についても測定結果が表になっている。海産魚はすべてNDとなっているが、アユ、イワナ、ヤマメの川魚からは、ほとんどがスクリーニングレベル(50Bq/Kg)超過が見られたとしている。(注)にはスクリーニングレベルの定義が書いてあり、「基準値(100Bq/Kg)を確実に下回ると判定するための値のことで100Bq/Kgの1/2と定められている。「傾向的には川魚の方が放射性物質の蓄積が多い結果となりました」とも書かれている。

続くページには富岡町で採取された栗についての記事がある。ここでは、測定結果とともにまとめとして、「栗の鬼皮を剥いて茹で、さらに渋皮を剥くことで可食部に含まれているセシウムがある程度取り除かれることがわかりました」とある。また、「調理によるセシウムの低減化が認められる野菜などの食品は他にもある」と書かれている。

町民がこれらの記事を読んで、どこまで理解し判断出来るのだろうか。一番知りたいのは川魚や栗を食べても良いかだ。基準値以下なら食べても良いと解釈する人もいるかもしれないが、食する量や頻度がどの程度なら大丈夫なのか。素人向きには「毎日何キロも川魚を食べればだめだが、一週間に何グラム程度なら問題ない」というような表現であって欲しい。

栗は鬼皮や渋皮を剥くことが食べる栗の放射能を減らすことになるのは理解するだろうが、どの程度の量や頻度なら問題がないのかがわからない。子供はだめだが、大人は良いのかも気にする人もいるはずだ。
どのような食生活が良いのか、どこに気をつけていればよいのか、それとも出回っている食品は何を食べても大丈夫なのかは読んでもわからない。基準値超がこれほどあるのでは町に帰還しても地元で採れる食材はうかつに食べられないと思うだろう。福島県ではいまだに露店で売っていたキノコや山菜に高い値が出たなどのニュースを見ることがあるから、住民はどうしても疑心暗鬼になりがちだ。

地元の生産物を食べる機会のある人の立場になって記事が書かれないので、安心のために出している冊子が逆に放射能の不安をバラまく結果になっている。内容について大学や専門家が関わっていると思われるのだが、誰もが安全性を説明するのに腰が引けているようだ。編集者にこの話をしたら主旨は理解されたようなので、次号からは内容や表現が変わることを期待したい。

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