日本エネルギー会議

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5年後の様子

今から5年後の警戒区域の様子はどうなっているのだろう。
楢葉町が8月10日に警戒区域から避難指示解除準備区域へ見直される。区域見直しで立ち入り申請が不要になり、町民は誰でも町へ入れるようになる。松本町長は、国による除染が終了後、2014年4月に役場機能の一部を先行帰還させ、放射線量を判断基準にして町民の帰還を促していく。避難指示の解除は「昨年3月11日以前の環境に近い所まで来た時点」という。
 これまで、南から広野町、楢葉町と解除が進んで来たが、これから北へ富岡町、大熊町、双葉町と行くにつれて線量はぐんと高くなる。大熊町では住民が住んでいるところの95パーセントが、5年以上戻れない帰還困難区域になりそうだ。楢葉町の一部先行帰還が再来年と聞いて、富岡町から浪江町の住民は、どうやっても今から3年から5年は、帰還は絶対に出来ないと思ったはずだ。
 今から5年も経てば、浪江町の北部や富岡町の南部は部分的に解除されるかもしれない。だが、町としての機能は依然として元には戻らない。福島第一原発の地元である、大熊町、双葉町はその頃になってもまったく帰還の見通しがつかないと思われる。各町では、「仮の町構想」の議論が盛んに行われているが、たとえ実現したとしても、そこに何割の住民が帰還を待って暮らすだろうか。
 「仮の町」に数年間暮らしてまでして、どうしても自宅に戻りたいのは、家を所有している高齢者およびその予備軍である50代、60代の子供と同居していない世帯だ。高齢者は年金暮らしだから、雇用の心配はない。土地や家に対する賠償金も手に入り老後は少し裕福だ。少し不便だが、以前からそんなに出歩くことがない生活をしていた。「仮の町」で帰還を待っている間に亡くなる高齢者も出るに違いない。子供のいる若い世代は賠償が入れば、さっさといわき市や南相馬市に家を探すだろう。思い切って郡山市など中通りに住むことを決意する世帯も現れるはずだ。

2012.8.7
北村 俊郎

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