日本エネルギー会議

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古くなることで発生するリスク

原発事故で避難したビッグパレットふくしまで、地元の人が「東電は古い原発を無理して使って事故を起こしたのだ」と批判する声があがった。
ビンテージカーは手入れをすることで今でも公道を走ることが出来るように、設備の健全性を確認しながら、対策を施せば、古い原発を使い続けるということは可能である。ただ、原発の運転が長期間になった場合は、古くなることでさまざまなリスクが生じていくことも事実である。
(1) 設備を長い期間、運転をすることで、さまざまな環境の変化に遭遇する。設計で想定していなかった大きな地震や津波などの自然災害に遭う。
(2) 設備そのものが劣化して行き強度を失う。基本設計に関するところは
取替が困難な場合が多い。また、周辺機器や事故防止のための装置、事故対応のための準備なども本体と同時に古くなっているが、これに対する関心は高くない。
(3) 人が代替わりして、設備の欠点や弱点を含めた、運転やメンテナンスの経験や技術の伝承がだんだん困難になる傾向がある。
(4) 古くなると金や労力が注ぎ込まれなくなる。償却がほとんど終わった設備の場合、コストアップにつながる再投資は運転期間延長が短期間である場合、先送りする傾向   が ある。
(5) 古い設備の運転やメンテナンスは難しい仕事であるにもかかわらず、新たな建設や新鋭機の方に期待される人材を投入する傾向がある。
(6) 長期間の運転実績により、いわゆるマンネリに陥り、関係者の気持ちに油断が生じ、緊張感がなくなって行きがちである。
(7) 古い設備はほとんどの場合、出力は小さく、人手が掛かり、効率も悪いため、経営のお荷物的存在となっていることが多い。このため、経営者の関心が薄くなったり、なんと        か金や人を掛けないで済まそうとしたりする傾向がある。
(8) 技術進歩の結果、新しい設備の信頼性が上がっているにもかかわらず、古い設備は建設当初の基準をクリアーしているということにこだわってしまう。これを改善すれば、        今まで危険なものを許していたことになるというジレンマが生じてしまい、改善を躊躇させる。

運転期間の延長問題を考えるにあたっては、事業者側も規制側も、上記のような点を十分意識して、安全性を確認をする必要がある。

2012.8.10
北村 俊郎

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