日本エネルギー会議

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古くても家は家

原発事故に伴う補償のうち、財物特に家や土地に対する補償の方針が政府によって示された。それによれば、①固定資産台帳の価格を基に算定。②建築単価を基に算定。(経年考慮) ③個別に不動産鑑定の中から最も高額なものを採用。古い家屋については最低2割を確保する。外構、庭などは家屋の15%を目安とする。所有権は失うことはない。東電は秋口からこれに従って補償を開始するとしている。
 これで困っているのが、帰還困難区域で古い家に住んでいた人達だ。帰還困難ということは、これから数年間は間違いなく戻れないことを意味する。除染が進まなければそれ以上帰還できないことになりそうだ。汚染のひどい大熊町などでは、土地や家の補償をもらって、いわき市や郡山市など新たな場所に家を建てて住もうとしている人が多いが、古い家に住んでいた人たちは、もともと土地が安かったことに加えて、建ててから三十年以上も経てば、家屋の価値はほとんどない。補償方針によって計算するとせいぜい数百万円しか貰えない。これでは新しい家を買うどころか中古住宅でも買うことが出来ない。これでは古い家に住んでいた人たちは困ってしまう。
 いくら古い家とはいえ、問題がなく暮らしてきたのだし、これからもまだ十年程度は十分に住むことが出来たはず。古くとも家は家なのだ。
長い間には改造をしたり、修理をしたり、また固定資産税を払ったりとしてきたからこそ、まだ住んでいられるのだ。親の代から古い家に住んでいた人の多くは、高齢者や高齢者を抱えた中年の人達である。
家にも戻れず、新たな家も買えないとすれば、期限が切れる仮設や借り上げ住宅から、自治体が提供する家賃の安い公営住宅などに移って、帰還出来るまでじっと待つしかない。
 高速道路やダムの建設で立ち退きをする場合、国や自治体は家を移築するか、新たに家を買えるだけの補償をする。今回はそのような補償は受けられないので、古い家を残して避難している人たちは、原発事故に遭ったのが、不運としか言いようがない。六十代の人であれば、これから晩年に向かって数年から十年程度を自分の意思とは違う場所で暮らすことになる。
 これ以外にも、古い家そのものが登記されていなかったり、増築しても登記していなかったりしたケースも出てくる可能性がある。また、田舎では車庫、納屋、作業小屋などは、今でも登記されていないことが多いが、それらは補償の計算からは除外されてしまう。原発事故の避難者たちの気持ちが晴れることはない。

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