日本エネルギー会議

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区域再編の課題

富岡町が避難している町民を対象に初めて開いた説明会に出席した。内容は「区域再編」、「財物の補償」、「除染に伴う仮置き場」であった。ビッグパレットふくしまでの説明会では、約1000人の住民が集まり、国から経産省、環境省、内閣府の係官が資料説明を行い、参加した町民からは数多くの質問や意見が出され予定時間を大幅に超過して終了した。説明会は場所を変え4回行われる。
そのなかで、私が特に心に残ったのは区域解除の条件についての質疑であった。国は年間線量20ミリシーベルト以下を解除の目安として、インフラの整備なども合わせて判断すると説明したのに対して、会場から中年の男性が「チェルノブイリではもっと低い線量のところでも居住制限をしていると聞いている。私は娘が二人いるので、親として心配で解除されても帰れないと考えている」と発言した。
これに対して、国の係官は「年間100ミリシーベルトで、癌の発生率が0.5パーセント上昇、20ミリであれば、その影響は喫煙や野菜の不足など他の原因に隠れてしまう。諸外国にはもっと高い線量の場所もあるが、特別な健康被害は見られない。20ミリは十分に安全な値である。また、健康管理もしっかり続けていく」と答えた。
男性は「何十年後、疫学調査の結果、問題はなかったということがわかっても、それまでの間、娘たちはずっと疑いの目で他の地域の人々から見られ苦しまなくてはならないのは、親として忍びない」と発言した。係官は「国は年間1ミリシーベルトを目指して除染を続ける」と応じたが、質問者は納得しなかった。会場からは「それが風評被害だ」「お前たちも家族を連れてきて一緒に住んでみろ」とのヤジも飛んだ。
この問題に対するよい対策はないのだろうか。どこかで線引きしなくてはいけないのだが、心の問題はそう簡単に割り切れるものでもないだろう。そのうちに風評も収まり、本人たちの心の傷も少しづつは小さくなるだろうが、長くダメージが続くに違いない。会場には国から副大臣も来て、「東日本大震災では世界中が日本人の冷静さと団結力に驚いた。原発災害に対しても、世界中がさすがだと評価するように対処を進めたい」と述べたが、区域解除を住民がすんなりと納得するとは思えない。

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