日本エネルギー会議

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最新知見による見直しは可能か

原子力規制委員会が、既設の50基の原発について、最新知見により安全性の評価見直しをかけるという。原発を建設した時点での安全基準ではなく、現在の技術レベルで考えて危険性が十分小さいと判断されたものだけを運転継続を認めるというものだ。従来は例えば、事故を起こした機器、あるいは建屋や機器の耐震対策に絞ってバックフィットを掛けてきたが、今後は安全に関してあらゆるところにバックフィットを掛けることになる。この考えは理想的だが、現実に即してみると実現はなかなか難しそうだ。
日本初の軽水炉である敦賀1号機が完成してから40年以上が経過している。このあと、沸騰水型では建屋の形状、格納容器の形、燃料の形態、機器の配置、安全系、制御の仕組みなどが変わった。加圧水型でも同様にあらゆる改良が加えられて今日に至っている。さらに、加圧水型で言えば、現在開発中のAP1000は画期的な安全性能を有するようになっている。
この水準で考えれば、ABWR、APWRより古い形の軽水炉は現在の技術水準にしようとバックフィットを掛けることは極めて困難で、もしやろうとすれば建屋、原子炉から変えなくてはならず、不可能ではないかもしれないが、改造に掛かる年数と費用、その後の運転可能年数を考えれば経済的成立性はない。そうなると新たな安全基準で運転再開許可となるのは、いきなり全原発の半分以下となる恐れがある。
最新知見により安全性の評価見直しをかけるのは、概念としては理解出来るが、具体的にどのようなことやろうとしているのか、今のところ想像がつかない。原子力規制委員会が振り上げた拳を、どのように降ろすか悩むようなことにならなければよいがと心配だ。

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