日本エネルギー会議

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賠償一括払いの影響

 東電が避難者に対して行う賠償の第5回が、先月末から始まっている。
精神的損害に対する賠償などは前回まで3カ月毎に支払っていたが、これから1年分(今年6月から来年の5月までの分)をまとめて支払うことになった。本来であれば、区域再編が行われた場合、帰還困難区域は5年分、
居住制限区域は2年分まとめての支払いとなるはずだったが、警戒区域内の再編が進まないため、
とりあえず全員に1年分の支払いを行うことになった。
 これで、警戒区域から避難したほとんどの世帯が、1人145万円(精神的損害として月10万円、
一時帰宅費用として年間25万円)を年内に受け取れる。このまま再編がされなければ、来年の6月以降に、
さらに1年分を受け取ることになる。今年の9月末から5年先までは賠償が決まっているが、その後も帰還出来ない
場合の措置は未定だ。
 各町村では、長引く避難生活に対して、いつまでも仮設住宅という訳にもいかず、仮の町構想が実施に向けて
動いている。そうでもしなければ、仮設住宅にいる人々は行く場所がなくなるし、借り上げ住宅に入っている
人々は、家賃自己負担で暮らさねばならなくなる。新たな地に職場や住居を決め、住民票を移す人々も
少しづつ増えており、このままでは町村そのものの存在が危うくなると、首長たちは危機感を募らせている。
 区域再編が進まないのは、国の区域再編によって不動産などの賠償に差が出ることで、住民の間で
反発が起き、首長がまとめきれないとの危惧を持っているためで、各首長は国に対して、区域区分にかかわらず
最大の賠償が受けられることを区域再編合意の条件にしている。首長はインフラ整備に5年以上かかることから、
例え線量は低くとも、実質的に帰還しての生活は出来ないので、一律賠償すべきだと主張して、
これが認められなければ中間貯蔵施設の建設など一切話に応じないと、既に半年以上頑張っている。
 解除準備区域となり昼間は自由に出入り出来るようになった楢葉町を見ても、下水が復旧していないため、
仮設のトイレが町のあちこちに設けられている。トイレもなく、生活ゴミの収集もしてくれないようでは、
例え線量が低くても普通に暮らせる状態とは言えないので、首長の主張も単なる金欲しさの地域エゴと
批判出来ない。南相馬市、広野町、川内村の状況を見ていると、さらに放射線量の高い原発周辺の町村に帰って
住むには、相当に年月が掛かることが予想出来る。

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