日本エネルギー会議

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安全は投資だ

 全国の電力会社の所有している54基の原発は総額2兆円を超える投資の結果だ。
電力会社はその投資のための資金を金融機関からの借り入れ、社債発行などで調達している。
これをうまく運用して、電気料金を稼ぎ出して、返済や償還に当てるとともに、設備の償却を進めるのが
電力会社の企業経営の基本である。
 事故が起きなくても、「シャープ」や「パナソニック」の工場のように、受注が減ったことで稼働をストップしたり、
売却したりしなくてはならなくなる。
先月、化学メーカー「日本触媒」の姫路工場で37人が死傷したタンクの爆発事故が発生したが、大事故発生で
当面操業出来ないとなれば、工場の閉鎖も覚悟しなくてはならない。企業経営者は生産拠点を事故から
守る責任がある。その意味で、福島第一原発の事故は、東京電力の経営陣が自らの生産設備を守る意識が
不足していた結果であると言えるのではないか。
 東京電力は社内に第三者機関として「原子力改革監視委員会」を立ち上げた。その委員長となった
米原子力規制委員会(NRC)元委員長のデール・クライン氏も「安全は会社にとって投資だ」と述べている。
 福島第一原発の事故は東京電力のみならず、全電力会社の原発という生産設備を停止させ、経営に深刻な
打撃を与えつつある。このような状況では従来、低利の資金調達源となっていた社債の発行もままならず、
大手金融機関からの融資に依存しなくてはならない。電気料金の値上げは政府や消費者の抵抗が予想され、
再稼働が遅れれば資金回収を心配した金融機関が、巨額の融資に二の足を踏むことも予想される。
それでなくても、東京電力などの株を大量に保有している金融機関は株価の急落で大きな損失を出している。
電力会社は日本原燃の再処理工場のための資金も実質的に保証しているから、金融機関が融資の回収で
つまずけば、金融危機のきっかけにもなりかねない。
電力の使用制限や電力料金値上げによる国内産業への打撃が心配されているが、電力会社の資金調達の方が
よりリアルな経済問題である。

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