日本エネルギー会議

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考える消費者に

 現在、原子力規制委員会は原発敷地内の活断層の確認に取り組んでいる。
断層が動くのは過去に遡ること10万年という単位の話。それに比べれば、大津波の1000年周期は
とても身近な話と言える。さらに隕石、火山噴火などの自然現象から、航空機の墜落、テロ行為、戦争
なども考えれば、安全対策には経済的、物理的、管理的限界があることは確かである。
安全に絶対がないと同様、防護にも絶対はない。
 今年9月に日本学術会議が報告書で、高レベル放射性廃棄物の最終処分について、
今の科学の知識では何十万年という将来、それが安全かどうか判断することが不可能だから、
地下深くに廃棄する「高レベル放射性廃棄物の地層処分」は難しいとしたが、
そこまで話を持って入って良いものか。
 我々が、採りうる第一の道は、どこまで安全対策をやるか考え、出来る範囲でそれを実行すること。
それでもカバー出来ないリスクについては、さらに費用は掛かるが、減災、事故収拾方策を考え、
準備しておくことだ。採りうる第二の道は、我が国では安全対策に途方もない金が掛かる原発を
あきらめ、それに代わってどのように安定的、経済的に電力を確保するかを考え、急いで手当を
することである。もちろん第一と第二のミックスが現実的だ。いずれも多額の追加投資を必要とし、
それは論じている政治家の負担ではなく、電力会社の負担でもない。すべて消費者や国民の負担と
なる。
 原発を再稼働しないで火力発電に頼りきることは、即、電気料金の上昇につながる。
このたび、関西電力は大飯に続いて高浜も再稼働するという条件で、一般家庭向けの電気の
8.5パーセント値上げを申請する。原発を止めたままでも、廃止しても、結局掛かる費用は消費者に
負担してもらわねばならない。再生可能エネルギーのためのコストも同じく負担してもらうことになる。
原発という存在そのものが不安だと言うのなら、コストは覚悟しなくてはならない。
 この選択は消費者に委ねられるべきである。欧州には消費者が、値段の高い再生可能エネルギーで
作った電気を選択出来る国もあるが、我が国でも電源別の電気の選択が出来るようになってもよい。
その際には、十分な情報提供と第三者による妥当性のある電源別の電気料金単価が示されなくては
ならない。今まで、電気を作るのも、配るのも、価格さえも一部の人たちで決めてきたことが、電力や
原子力に絡む利権構造を作り、福島第一原発事故に至るさまざまな問題を育ててきたのではないか。
それがどんなものだったのかは、郵政省と電電公社で通信事業を取り仕切ってきた頃のことを
思い出せばよい。
 消費者が何も考えずに、スイッチを押せばエアコンが動く時代は終わった。
これからは、中東情勢から原子力のバックエンド、地球温暖化、電力経営まで広く理解するとともに、
そのリスクを考えながら電気を消費する必要がある。

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