日本エネルギー会議

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県民健康管理ファイルの問題点に関するやり取り

福島第一原発の事故に関し、福島県民に配布された県民健康管理ファイルの内容について、
(県民健康管理ファイルの内容は福島県ホームページで閲覧可能)
12月4日に福島県の保健福祉部健康管理室に対して問題点を指摘したが、昨日その回答がメールで戻ってきた。
赤字で示した部分がそれであるが、青字で評価に書いたようにその内容は自分たちは間違っていないと主張している
だけで、とうてい納得のいくものではない。こちらの指摘に対して「貴重なご意見」と言う割には、反省もしていないようで、
もちろん訂正する気もないらしい。

(北村からの質問1)
1.線量測定値記録や健康の記録のファイルへの記入は個人にまかされているから、どこまで記入がされ管理されるか
  は不明。おそらく引き出しに入れて忘れられるだろう。個人の実施率はおそらく低いはずで、ファイルを配布したことに
  より形を整えただけではないか。一時立ち入り時の被ばくなども含めて、個人が記録した結果を県は集計し、
  集中的に管理する必要がある。原発など従事者が中央登録制度で集中管理をされていることに比べると、
  県のやっていることは管理とは程遠い。ファイルにはデータベースの構築として県民の長期にわたる健康管理と
  治療に活用、健康管理をとおして得られた知見を次世代に活用と書いてあるが、どのように活用するというのか。
(健康管理調査室からの回答)
  県民健康管理調査による調査や検査の結果につきましては、県で、来夏を目途として福島県立医科大学内に
  設けることとしているデータベースにおいて、住民情報、基本調査・詳細調査の情報に加え、県及び市町村が
  行っているホールボディカウンタの情報、個人線量計の情報、さらには広く医療機関から収集するがん登録・
  死亡(死因)の各種情報を取り込み、県民一人一人について、長期にわたって管理するシステムを構築して
  まいります。こうした情報を結びつけるなどして、放射線による健康影響評価や県民の長期にわたる健康管理
  に活かしてまいります。なお、県民健康管理ファイルについては、県民が健診をはじめとする自らの健康管理
  に活用していただくためお送りしています。
(回答に対する評価)
  事故発生から二年近くもなり、実施時期が遅いため資料散逸する恐れがある。今後、個人のファイルとの中身が
  違ってくることはどのように対処するのか。個人からの情報収集を今後どうするかが示されていないので、
  言っているようなことが満足に出来るとは思われない。

(北村からの質問2)
2.放射線や健康影響の説明の部分も、ICRPをもとにしていると思われるが、ファイルの16ページでは、
  肝心な条件である「社会的、経済的要因を考慮に入れながら、合理的に、達成可能な限り」 をすっかり抜かして、
  単に「放射線被ばくをできるだけ少なくすることが大切だよ」と説明されている。これを見たら北海道まで避難した
  一家も、自分たちの判断が正しかったと思うに違いない。
(健康管理調査室からの回答)
  小さなお子様にもわかりやすいように、簡素な表現としたところです。なお、ご指摘のALALAの原則については、
  23ページの「用語・参考資料①」のところに掲載しております。
(回答に対する評価)
  回答は言い訳に過ぎない。一番重要な点を抜かしている。これは誤解による不安のもとになる。
  「条件付でできるだけ少なく」が肝心のところであり、用語・参考資料のところに書くだけで済むようなものではない。
  もし、「小さなお子さまにもわかりやすいように」というのなら、その目で他の部分を見れば、そのように書かれて
  いないところばかりである。

(北村からの質問3)
3.ファイル18ぺージでは「外部被ばくと内部被ばくで違うの」との問に、「放射線被ばくの合計の量が同じなら、
  外部被ばくも内部被ばくも影響は同じ」と答えているが、「外部被ばくは一過性だが、内部被ばくは放射性物質が
  体内に留まっているあいだ、被ばくし続けるから気をつける必要がある」と答えるべきである。
(健康管理調査室からの回答)
  同じ放射性物質の量(ベクレル、Bq)であれば、体の外にあるときと内部にあるときで影響が違います。
  外部被ばくではガンマ線だけの影響ですが、内部被ばくの場合は、ガンマ線に加えて飛ぶ力の弱いアルファ線や
  ベータ線の影響を受ける場合があるので、それらの影響も考える必要があります。また、放射性物質の種類に
  よって、集積しやすい臓器がある場合は、その臓器への影響を個別に考慮する必要があります。これらのことを
  含めて人体への影響の評価のために考えられたものが実効線量(単位はシーベルト、Sv)です。体内の放射性物質
  から受ける内部被ばくの実効線量は、摂取した放射性物質の量(ベクレル)に実効線量係数(シーベルト/ベクレル)
  を掛けることにより求められます。このようにして得られた実効線量を用いれば、内部被ばくの影響と外部被ばくの
  影響を同等に扱うことができるとされています。同じ実効線量であれば内部被ばくでも外部被ばくでも影響の大きさは
  同じであるという趣旨で、「放射性被ばくの合計量が同じなら、外部被ばくも内部被ばくも影響は同じである。」と
  したところです。
(回答に対する評価)
  解説のところに書かれる方が適切な内容であり、絵や大文字で表現するところは、子供にもわかりやすいように
  外部被ばくと内部被ばくの特徴を書くべきである。

(北村からの質問4)
4.ファイル19ページでは、内部被ばく線量を少なくするためには、「今回の事故後、流通している汚染された食品を
  選択的に継続して食べたとしても、…」とあり、あたかも汚染食品が流通しているかの誤解を与えている。
(健康管理調査室からの回答)
  ご指摘の文言については、ファイルに記載されているとおり、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会資料4から
  引用したものです。なお、現在は、県のみならず関係機関において、生産から消費に至る一貫した食の安全確保
  に努めるとともに、食品中の放射性物質対策に積極的に取り組んでおり、基準を超える食品が市場に流通する
  ことはないと考えます。
(回答に対する評価)
  非や責任を分科会資料に押し付けている。誤解を招く表現の不適切さは明らかである。
  流通すことがないと考えているなら、そのことも書くべきである。

(北村からの質問5)
5.ファイル22ベージでは、「緊急時被ばく状況」や「現存被ばく状況」などという聞きなれない用語を使っており、
  その用語解説には「緊急事態後の復興期の長期被ばくを含む、管理に関する決定をくださなければならない時に、
  既に存在している被ばく状況」という解説は実に難解である。
(健康管理調査室からの回答)
  ご指摘の文言については、ICRP勧告の解説を引用し、用語・参考資料として掲載したところです。
(回答に対する評価)
  本文、絵解きのところにこのような難しい用語を使ったことは不適当である。まさに用語・参考資料のところに
  ふさわしい難しい用語である。「小さなお子さまにもわかりやすいように」どころか大人でも理解困難だ。

(北村からの質問6)
6.ファイルの中身は「県民健康管理調査」検討委員会で紹介してご承認いただいたとのことだが、検討委員会の
  委員には県が委託している「放射線と健康アドバイザリーグループ」の先生方がなっている。先生方は上記の
  疑問を感じなかったのだろうか。本当に事前にチェックしてもらったというのなら、先生方の見識に疑問を
  抱かざるを得ない。どのような事情で、このような内容が承認されたのか。
(健康管理調査室からの回答)
  県民健康管理ファイルの作成に当たっては、福島県「県民健康管理調査」検討委員会及び福島県「放射線と健康」
  アドバイザリーグループの先生方に監修していただいており、先生方からいただいた意見については記載内容に
  反映したところです。なお、今後、新たな知見等が報告され、主要な学会等でオーソライズされた場合については、
  文言等を見直し、情報の更新等を行ってまいります。
(回答に対する評価)
  議事録を見ても、県民健康管理ファイルの中身についての意見や質問は見当たらない。本当に見てもらったのか。
  配布資料に入れてあったのか。説明はしたのか疑わしい。

県民健康管理ファイルについて、このようなクレームをつけたのは、既に配布した数万人の中で私だけだったらしい。
総選挙で来県した政治家たちは「県民の健康管理をしっかりやります」と語ったようだが、こんな事実を知って
言っているのか。今まで、国や県など自治体が税金を使ってやることに対して、県民は無関心であり甘すぎたのだ。
それが、大震災・原発事故後も続いている。県民は大いに反省せねばならない。

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