日本エネルギー会議

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上京命令

 原子力事故で被害を受けた人が原子力事業者に対して損害賠償を請求する際に、円滑・迅速・公正に紛争を解決することを目的として設置された公的な紛争解決機関がADRだ。現時点で5000件を超す申請があり、五分の一ほどしか解決していない。
 昨年の8月にADRに出した申請について、半年後の昨日、ようやくADRの調査官から電話が入って、ADRの立会いのもとに、東京電力と申請者本人が双方の主張をする場を来月設けるとの通知があった。どこでやるのかと尋ねると、東京の新橋にあるADRの本部の入っているビルとのこと。往復16000円の交通費は自己負担になるという。上京出来ないのなら、電話でやると言うが、それではやる意味が半減だ。
 被災者の8割が福島県内に居住し、東京電力も今年になって福島復興本社を県内に立ち上げてそこで賠償、除染、復興に本格的に取り組むとしている。何故福島県内で出来ないのかと尋ねると、調査官は東京電力の使っている弁護士が東京の弁護士であるとか、ADRのスタッフが東京の本部にいるからなどの理由を述べ立てた。
 裁判であれば、当然、懸案の発生した福島地裁かいわき市にある支部で、審議を始めるが、ADRはいきなり東京でやるというのだ。ADRは現在、福島市と郡山市に支部を設置しており、スタッフもいる。そこでやるのが被災者にとって最も都合が良い。東京電力の弁護士やADRのスタッフが東京にいるからなどという理由は、自分たちや東京電力の都合ばかりを優先していることだ。
 政治家も国も東京電力の首脳陣も口を開けば、「被災者の気持ちに沿って親切丁寧に賠償を」とか「誠意をもって迅速に賠償問題に取り組む」と言うが、交渉するので自費で上京せよというのは、どう考えても被災者を上から目線で見る態度だ。県や町の賠償支援の担当者にこの問題を話すと「それは福島県内でやるべきでしょう」と言う。彼等にも、このような現実を十分把握して被災者の立場を守ってもらいたい。

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