日本エネルギー会議

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人材への影響

 福島第一原発の事故の影響は電力会社の収支悪化など数々あるが、深刻な問題の一つに人材確保と技術伝承がある。電力会社や原子炉メーカーは学生に人気の企業だったが、今回の事故により学生の就職先人気ランキングの順位を落としている。電力会社の側も、原発の長期停止による火力燃料費増加で赤字となり、資産の売却や賃下げをするとともに、定期採用人数枠を減らしている。
 原子力のイメージが悪化したことで、原産協会がここ数年実施している就職セミナーも参加人数が激減した。廃炉や放射性廃棄物は、大切な事業であるが、一方で地味な仕事のイメージがつきまとう。高校生も大学で原子力を専攻しようとする者が減っている。これは数年後にはボディブローのように効いてくるはずだ。過去にも不況や原発建設の減少で採用を絞ったことがあるが、10年もたつとその時の年代の人数の少なさが、適正な年齢構成や技術伝承のネックとなることがわかっている。装置産業である原発の運転保守をするには、どんなときにも一定の人数を採用し、教育訓練をしていくことが必要なのだ。
 建設が遠のいたことで、電力会社や原子炉メーカーの若手社員が、最も力をつけることが出来る機会が失われたと、ОBたちは見ている。原子力規制委員会がつくる新基準に合わせて、全国の原発が改造を急ぐために、原子炉メーカーやゼネコンそして工事会社は一時期活況を呈するが、そのあと建設がないと再び厳しい状況となる。
 今後は福島第一原発をはじめとする廃炉関連の仕事が多くなりそうだが、全国の原発の長期停止によって、下請の技術者や技能者が次第に原子力から離れて行くのが当然で、これを食い止めるのは難しい。今まで原発に依存してきた地元企業も将来を不安視している。
 原発の運転員にしても、原子炉の起動停止、発電機併入などの運転操作を既に二年以上経験していない。二年前に入社した者は、運転員に限らず、現場業務の経験不足だ。若い運転員の習熟だけでなく士気の低下も心配だ。これから過酷事故対応などの訓練も控えており、プレッシャーが今まで以上に掛かると思われる。原発事故がもたらした人材面の影響は、再稼働を待つ原発の円滑な運営の障害となる可能性もある。

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