日本エネルギー会議

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古老の話

 現在、私が避難している須賀川市は福島県の内陸部にある。東日本大震災の被害については仙台地区の地震被害、岩手県から福島県にかけの津波被害が大きく取り上げられたが、実は福島県内陸部の中通りと呼ばれる郡山市、須賀川市で、地震で多くの古い建物が倒壊した。須賀川市も市役所が壊れ、いまだに市役所機能は文化施設などいくつかの建物に分散されて、市民生活が不便なものとなっている。市の都市計画課の職員の話では、今回の地震で大きな被害のあった建物を地図上にプロットしてみたところ、古地図に示された戦国時代の須賀川城のお堀に合致したという。江戸時代以降に堀を埋め立てて建物を建てたために地盤が悪かったようだ。町が発展する中で、安全より経済性が優先されたのだろう。そのことは、子孫に伝わらず何百年もたってから発見された。
 原発の開発がスタートしてから50年が経過し、初期の原発建設に関わった技術者も多くが亡くなっている。その頃、彼等は精一杯の努力をしたはずだが、如何せん知識も経験も今から見れば不十分だった。彼等としても気になる点も多いままに世代交替をしていった。現場の管理職を勤めた者であれば、墓場まで持っていかざるを得ない秘密を二つ三つは抱えて退職しているはずだ。原発のように長期にわたって世代を超えて運転保守をしていく産業では、退職届を出す際に、免責を条件に「気になる点」を書き記したものを作成して会社に残していくような制度が必要なのではないか。古老の話を聞くことはいつの時代でも大切である。
 

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