日本エネルギー会議

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危険は分散すべき

 「ダーウィンがやってきた」など大自然の営みを捉えたテレビのドキュメンター番組でおなじみなのが、小魚や小動物それに昆虫などが、数の多さで種の生存を図っているシーンである。大型の魚に追いかけられて逃げ回る小魚の群れ。大型の魚には勝てず、次々と飲み込まれるが、その圧倒的な数で大半は逃げ延びることができる。肉食動物の餌食になるシマウマやムーは群れから落ちこぼれ、はぐれた弱い者であり、大群はそれを尻目に逃げていく。大自然は小さいもの、弱いものを生き延びさせるために、大きな繁殖能力を与えている。
 人間社会を見ると、歴史的に、特に近代では都市への集中、富の集中など、分散ではなく集中が続けられている。先ごろ隕石が落下したり接近する現象が起きたが、大都市や危険物が集まる工業地帯を直撃したらとんでもないことになっていただろう。原発の大型化やひとつのサイトに数基を配置するなども集中だ。これは規模による経済的メリットや送電線の有効活用を狙う発想から考えられてきた。
 だが、炉内やプール内の核燃料は、事故時に放射性物質となって住民を襲う可能性がある危険なものだ。それをむやみに集中することは安全の上からは大変問題があることになる。実際に福島第一原発の事故では、4号機の年利用プールに1000本を超す燃料棒があり、いまだに人々に恐怖感を与え続けている。サイト内にずらり並んだ原発は事故時に誘爆のおそれがある。もし、福島第一原発が1基で、出力も10万キロワット程度であったら、メルトダウンしても、地域に対してあれほどの広範囲で強烈な汚染はもたらさなかったはずだ。
 ひところ、使用済燃料の置き場に困った電力会社は、競うように使用済燃料プール内の燃料保管ラックの改造を行なってきた。これはリラッキングと呼ばれ、燃料を収納するラックをより稠密化して、より多くの燃料を保管出来るようにするもの。今から考えると危険分散の観点からは、まずい方向だった。これを見ても、国の規制機関と原子力業界が大事故は起きないと勝手に考え、目先の問題解決のために安易にものごとを進めてきたのかが分かる。

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