日本エネルギー会議

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原子力安全監視室

 福島第1原発事故を受け、事故の総括と原子力事業改革を進める東京電力の「原子力改革特別タスクフォース」は、「事前の備えによって防ぐべき事故を防げなかった結果を、真摯に受け入れることが必要だ」とする最終報告書をまとめ、3月29日に公表した。報告書によれば、「原発という特別なリスクを扱う企業として、当時の経営陣全体のリスク管理に甘さがあった」と指摘し、会社の執行部門から独立した「原子力安全監視室」を設置し、外部から室長を招いて安全面の監視を担わせるとしている。広瀬社長は「過信やおごりを一掃し、不退転の決意で向かいたい」と述べたそうだが、何か変だ。
 外部から室長を招いても、監視役の言うことを取り入れるかどうかは経営陣の問題である。無条件に監視役の言うことを聞くとでもいうのならわかるが、それでは経営権が一部無くなることになる。それとも、経営陣が原子力部門の抵抗をこの監視役のバックアップで排除しようというのだろうか。そんなことをすれば原子力部門が情報を隠蔽したり、やる気を失ってふてくさたりするだけだ。
 今までの社内外の監査役、監査委員会、監査部などにプロ意識がなく、サラリーマン化していたと言うのなら、経営陣が彼等を真剣に活かそうとせず、そのようにしてしまったのだという反省が必要だ。執行部から独立したというが、経営陣が原子力安全監視室を再び、無力化したり、意見を無視したりすることはないのか。今まででも外部から人を招いて取締役や監査役にしていたのではないのか。
 「原発という特別なリスクを扱う企業として、当時の経営陣全体のリスク管理に甘さがあった」は、まったくその通りだが、その対策は経営陣の本当の意味での懺悔と頭の切り替え、原子力のことをしっかり勉強すること、共同体の利益やそれぞれの立場を守ることを最優先しないこと、衆知を集めた合理的で慎重な判断を心がけることではないのか。またぞろ、金を出して他人に依存するという考えなのかと心配になる。本人たちは至極真面目なのかもしれないが、そう思えてしまうやり方だ。
 役員会が各部門の利益代表になってしまっていたこと、長老が実際の権限をいつまでも離さず、これらの人に対する各部門の根回しが行なわれることで、役員会がセレモニー化してボードとしての役割を果たしていなかったこと、内部の異論や正論を吐く者を排除したり、押さえつけたりしたことが問題の本質だったのではないのか。特別タスクフォースのメンバーはどこまで真実に迫ったのか、どこまで実際的に対策を考えたのか、結論ありきで考えたのではないのか、疑問は深まるばかりだ。

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