日本エネルギー会議

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万里の長城

 北京で開催された原子力の国際会議に参加した折に、仲間と有名な万里の長城を観光したことがある。一番ポピュラーな八達嶺という地点を一時間程度散策し、たちまち足の裏が痛くなった。夏の盛りで、観光に来ていた中国人の家族から冷やした桃を貰って食べたことが記憶にある。長城は宇宙から見える地上最大の建造物だというが、その壮大さには驚愕した。これを造るのに必要な資材と労力は想像を絶する。
 万里の長城は夷狄から国を守るために造られたが、歴史上、何回も夷狄から攻撃を受け、その都度補強され、延長されている。夷狄からの攻撃はそれほど強力でかつ執拗なものだった。攻撃といえば、日本の電力会社も原発を作り始めたときは、そうでもなかったが、事故を起こしたとたん、すぐに反対派やメディアから攻撃を受けるようになった。広報担当をおいたり、地元に発電所とは別に事務所を作ったりしたが、スリーマイル島やチェルノブイリなど海外で大事故が起きると、電力会社は必死になって防戦した。
 矛盾という言葉の語源のように、叩かれれば叩かれるほど、防護の殻は厚くなっていった。ついには、万里の長城の如く、高い城壁を造り反対派と直接戦わない方法を取り始め、反対派がどんなことを言おうとも、無視するようにしたため、城の内側では反対派の攻撃を気にしないで済むようになり、緊張感がなくなった。長城を造ったことは、原発の安全には何も資さないどころか、かえって関係者の独りよがりや面の皮を厚くするのを助長した。その危険性に、叩いた方も叩かれた方も気づかなかったようだ。

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