日本エネルギー会議

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契約は出来たのか

 東京電力は過剰な下請依存について反省をしたようだ。東京電力の原子力改革特別タスクフォースが作成した「原子力改革の進め方」を読むと、基本方針として「外部に依存せず、自ら作業の遂行、改善提案ができる能力を育成すること」が挙げられている。また、事故時にもっと上手に影響を緩和ができたのではないか?という点に関して「形式だけの訓練ではなく、実際に事故対応のための能力のある組織の設計、訓練、資機材の配備を行うべきであった」としている。
 事故時の対応の振り返りでは、■システムの設計、運転、配置などに精通した技術者が不足した。■仮設電池やコンプレッサーのつなぎ込みなど、直営作業を迅速・円滑に行えなかった、となっている。事故時対応の課題の背後要因としては、「日常の業務を通しての経験不足」があり、このため、■直営で現場工事を実施出来る能力の強化、■協力企業との役割分担、協力体制を整備としている。「メーカー、協力企業さんの協力取り付け」とも書いてあり、請負多層化構造の改善にも触れている。
 事故関連で発刊された報告書やノンフィクションものを読むと、二年前、福島第一原発事故の際、東京電力は子会社である南明興産に消防ポンプの操作を依頼したが、南明興産の社長は社員に事故対応に従事してもよいとの了解をなかなか与えなかったことが書かれている。
 中央制御室を除く運転業務と現場のメンテナンス業務においては、ほとんどを外注化しており、人数的にも電力社員より常駐協力会社社員の方が圧倒的に数の多い現状では、あらかじめ緊急時に対応業務のために残ってもらえるよう、また夜間や休日には特別に出勤してもらえるよう、協力会社と契約を結んでおく必要がある。協力会社側でも労働条件や拘束シフトの問題を解決しておかねばならない。
 私は日本原電で直営化を推進した経験があるが、電力会社社員が、現場で実際に使える力量をつけるには相当の時間が必要である。したがって緊急時の備えとして、当面はメーカーや協力会社に依存せざるを得ない原発が大半である。  
 原子力規制委員会は運転再開条件としてハードを中心に新規制基準を満たすことをいろいろ言っているようだが、放射線量が高い現場への緊急時出動に関する協力会社との契約が締結されており、事故対応要員の確保や訓練が十分に出来ているかなど、もっと現場オリエンテッドに泥臭く取り組む必要がある。

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