日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

石炭火力の脅威

 石炭火力発電が世界中で増加している。経済性に優れていること、石炭が世界のどこからでも調達出来ることが理由だ。原発がほとんど停止している日本は、石炭、石油、LNGといった化石燃料に依存せざるを得ず、現在では火力発電が電源の90パーセントを超している。天然ガスや石油の価格が高止まりしており、経営的に苦しい電力会社は安定した供給力の確保を狙って従来、原発と同じく全電源の25パーセントを占めていた石炭火力を今以上に伸ばすことを計画している。さらに独立系電気事業者も石炭火力を採用する傾向がある。
 石炭火力の最大の問題点は環境対策であり、進んだ公害防止技術を採用したとしても、二酸化炭素の排出が増えてしまう点だ。これで、まったなしの地球温暖化対策を先延ばしにするどころか、さらに事態を悪化させるようなことを日本が先頭にたってやることになる。原発にも放射性廃棄物が累積する問題があるが、石炭火力は汚染物質による住民の死者が出ているとともに、地球温暖化は将来、より深刻な被害を人類にもたらす脅威となる可能性がある。
 福島第一原発の事故に続く原発事故も御免蒙りたいが、真綿で首を締められるような温暖化は次世代のためにも何とかして回避したい。であるならば、現在の石炭火力に対する規制も従来の延長線上ではなく、抜本的なものにすべきである。原発に対しては原子力規制委員会が、今回の事故を踏まえて相当な規制の強化を図るようだが、石炭火力規制委員会を設置して火力発電に対する規制も強化しないと石炭火発へ安易な移行が増えてしまう。中国の酷い石炭火力公害だけでなく、最近伝えられたEUでの石炭火力の大気汚染の問題を聞くにつけ、石炭火力を野放しにしては原発事故以上の問題を引き起こすことになる。
 環境省と経済産業省が電力業界に対し、業界全体の二酸化炭素排出量を抑制する枠組みづくりを要請することを決め、国の温室効果ガス排出削減目標と整合性のある取り組みを促すことになっているが、個別の石炭火発の増設に環境省が待ったを掛けるよりも、全体で抑制をする仕組みとしたことは評価出来る。
 二酸化炭素の貯留などの技術はまだコスト面など実用段階ではないが、国はこの技術開発の支援を思い切って増やす必要がある。この技術こそが、日本の技術輸出の花形になる可能性がある。この技術の実用化の目処がつくまで、日本は新鋭火発の建設だけでなく、既設火発の改造による発電効率のさらなる向上で、出力当たりの二酸化炭素排出量を抑制することを目指すべきである。少なくともコンバインドサイクルなど最新鋭の技術を使うこと、小規模の火発ではなく大型の火発を建設するよう誘導するような政策を取る必要がある。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康
Facebook Twitter