日本エネルギー会議

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原子力防災訓練の報告

 原子力規制委員会が出来て以降、いくつか原子力防災訓練が行われたという報道があったので、原子力規制委員会はその結果について、どのように見ているかを委員会のホームページで探したが見つからなかった。しかたがないので、そのホームページで「訓練」というキーワードで再検索したところ、そこに載っていた訓練実績情報は、古いものばかりだった。委員会のホームページの冒頭には「このページは旧原子力安全・保安院より提供された情報です」と書かれている。その訓練実績の最後は、皮肉にも平成20年度に実施された福島第一原発3号機であった。その内容を紹介すると
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「原子力災害対策特別措置法(以下「原災法」という。)第13条に基づいて、平成20年10月21日(火曜日)及び22日(水曜日)に、国、福島県及び関係町(大熊町、双葉町、富岡町、浪江町、広野町、楢葉町)、事業者(東京電力株式会社)、関係機関など計113機関、避難・退避訓練に参加した地元住民約1,800人を含む総勢約4,000人の参加協力を得て、東京電力株式会社福島第一原子力発電所3号機を対象とし、内閣総理大臣を政府対策本部長、経済産業大臣は政府対策副本部長、また、経済産業副大臣は政府現地対策本部長として、平成20年度原子力総合防災訓練を実施しました。
平成20年度原子力総合防災訓練では、特にトラブル発生時における迅速・的確な初動対応の充実、広域支援体制の充実、広報活動の充実、住民の視点に立った訓練等の充実を図りました。また、実際に原子力緊急事態応急対策に使用される施設(官邸、経済産業省緊急時対応センター、福島県原子力災害対策センター等)及び設備を使用し、内閣総理大臣から関係閣僚、 関係省庁、関係自治体、関係団体、原子力事業者、地域住民までが参加し、応急対策の一連の流れ(事故発生の通報から、事故の進展による対策本部等の立ち上げ、情報連絡、応急措置の判断、 住民避難、放射性物質放出停止後の事後処置及び対策本部等の解散まで)についての総合的な訓練を実施しました。原子力安全委員会においても、 東京と現地とのテレビ会議により緊急事態応急対策に対する助言事項について協議を実施するなど、その機能を確認することができました。これにより、それぞれの防災関係機関の機能の確認、相互協力の円滑化を図ることができました。
さらに、住民の視点に立った訓練等の充実として、県、関係町とともに国からの職員が参加し、周辺地域住民の理解の促進ための事前説明会を開催しました。訓練当日は高齢者、 障がい者等の災害時要援護者を含む多数の住民の訓練参加により、地域住民を含む防災関係者の原子力防災に関する意識の高揚と知識の向上を図ることができました。
また、従来同様、防災関係者の防護対策決定プロセスの習熟とより実効性を高めるために、対策立案の拠点を中心とした事前訓練を実施し、所期の目的を達成することができました。 」
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 この報告の前のページには原子力防災訓練の目的について、「訓練の実施によって周辺住民に対する指導体制を確認するとともに、防災体制の改善と防災体制の実効性の向上を図ることが必要となり、これが原子力防災訓練を実施する目的となっています」と書かれている。
 この1000字に満たない報告の中に、改善と実効性の向上を図るための反省事項がどれほど書かれていたのだろうか。「…円滑化を図ることが出来ました」「…意識の高揚と知識の向上を図ることができました」「…所期の目的を達成することができました」と絶賛するばかりだ。いくら役人の作文とはいえ、読んでいて空虚すぎる内容だ。
 原子力規制委員会がホームページにこれをいまだに掲載しているのは、原子力安全・保安院の轍を踏まないようにとの戒めなのか、あるいは原子力安全・保安院から移った職員の意地なのであろうか。今後、掲載されるであろう福島第一原発の事故以降に実施された原子力防災訓練の報告が、早期に公表されるとともに、目的通りの改善と実効性の向上を図るために役立つものであることを願うばかりだ。

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