日本エネルギー会議

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兼業農家の悩み

 我が国で農業に従事している人の平均年齢は60歳、林業70歳と言われて久しい。この話には、僧侶は平均80歳というオチがある。農林水産省の2012年のデータによれば、農業従事者の平均年齢は65.8歳に上昇している。
 全国的にも農家は兼業が多いが、福島第一原発の事故で被災した周辺の農家もほとんどが兼業だ。自分の家族と親類が食べる程度のコメつくりをして減反補助金を貰う。それに最近は農協や直売場に、畑で作った季節の野菜を出して小遣いかせぎもしている。
 大工、左官、塗装などの職人も多くは兼業農家だ。役場や原発の下請企業に勤める人も中年以上は、コメづくりもやっている人が多数いる。私が現場にいた頃も、地元で雇用した人は農繁期に備えて、普段は休暇を取らなかった。
 福島原発の地元では、70歳をすぎた人は、兼業であっても農業は自分の代で終わりと考えていた人がかなりいた。息子たちは、ほとんどが勤めに出ていたから田植えと稲刈りを手伝うくらいだ。実際、今は専業農家に田圃を任せて、秋になるとコメで受け取る人が多くなっていた。
 福島第一原発の事故後、原発周辺の市町村では農業はまったく行われなくなった。田畑は荒れ放題で、再び農業をやるには、除染とともに雑草を駆除し、土を掘り起こさねばならない。今は指定解除準備区域を中心に試験的な作付けが行われているに過ぎず、帰還困難区域では除染が開始されるのはまだ遠い将来の話だ。70歳を過ぎた農業従事者は、5年後にはもう農業は出来ない年齢になり、後継者にノウハウを伝授しないまま引退することとなる。
 農業に対する賠償が5年で切れると、あとは避難して戻らない息子一家と離れて元の家で年金生活するか、息子一家のところに同居することになる。福島第一原発の10キロ圏内では田畑の除染が行われたとしても、農業そのものが行われなくなって、再び荒地になる可能性が高い。

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