日本エネルギー会議

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KY

 KYと言えば「危険」と「予知」の頭文字。安全活動のやり方だと思うのが、現場で長年過ごしてきた人たちだ。危険予知は既に現場に浸透し、どこの現場でも朝のミーティングは、「○○ヨシッ」という掛け声で締めくくられる。私が若い頃、現場だけでなく、事務所で工事計画書のヒヤリングを行なっており、工事に着手する前に、机上で工事の進行を工事監督から説明してもらい、どのような危険要素があるかを見つけ出し、それに対する対策が講じられているかの確認をしたものだ。これもKYのはしりだ。
 今思えば、現場でのKYは、水際作戦というべきもので、本来は工事計画や本設備などもっと上流に遡るべきであった。工事計画や設備の問題点こそ、直さねば現場作業のネックとなる。それを無理してやれば事故のリスクは高まる。さらに危険予知の遡りを続けるのであれば、福島第一原発の事故のように、原発の設計や運営体制の中にどのような問題点が潜んでいるかを検討することを運転開始後も継続して確認していくべきであった。
 殺虫剤、化学肥料、火力発電、シェールガス掘削など、「便利だ」「画期的だ」とさんざん利用した後に、問題点が明らかになるのが新しい技術の共通点だ。テロのように新たに社会環境の変化で危険が迫る場合もある。古い原発についても、そのような危険予知の掘り起こしが不活発であったことが、今回の過酷事故背景の一つに挙げられる。
 日本語俗語辞典によれば、KYにはもうひとつの意味がある。若い人たちを中心に使われているKYは「空気」と「読めない」の頭文字で、その場の雰囲気や状況を察することの出来ないことを言う。
 福島第一原発の事故以前、役所と原子力業界では、周りの空気を読むことばかりで、危険因子に気づいても言い出さない、疑問を持っても質問しないという雰囲気になっていた。KY(空気を読めない)な人がほとんどいなかったということになる。問題を指摘しても、「それはそうかも知れないが、今やることだろうか」「今のままでも、そう問題にすることではない」「それを言い出すとキリがなくなる」「そんなことが外部に出たら、マスコミや反対派に食いつかれる」などと押さえ込まれる。
 挙句の果に、問題意識を持った人は「あの人はKYだ」といって危険視され、はじき出される。役所の委員会にも呼ばれない。それをやっていると、組織の平和は保たれるが、福島第一原発のような事故が起きて、原子力そのものがダメになってしまうことを関係者はまったく気づかなかった。

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