日本エネルギー会議

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若い人に望むこと

大学で原子力を専攻している若い人に話をするように依頼された。避難の経験談とともに、自分の経験から若い人に望むことも話して欲しいという。私は福島第一原発の事故の背景には、日本の原子力開発の歩みの中で作り上げた風土があり、それが帰結したのが今回の事故だと思っている。原子力界にこれから飛び込んでいく若い人たちは、その風土に飲み込まれないように、しっかりしてもらいたい。

昔も今も、若い人たちは夢を抱いて社会に出るのだが、そこは既に先輩たちによって良くも悪くも風土が形成されている。それは時代とともに周囲からの影響もあるが、すぐに変わるものではない。原子力界の場合は、原発を所有している電力会社が独占企業として守られているので、その傾向はさらに強い。誰でも入社当初はいろいろと疑問を持つものだが、やがて何故そうなっているのか、何故そのような判断になるのかがわかってくる。と同時に、これを変えるのは大変なことであることも理解し始める。

将来、自分が判断する立場になれば、そのようにしようと心に決めても、昇進してその立場に立つためには当面、先輩方の言うことを聞き、従来のやり方をきちんと守って信頼を得る必要がある。上に立つようになると、今度は大きな組織を維持管理するために苦労するようになり、初心を忘れたわけではないが、思い切ったことはしづらくなるものだ。中にはせっかく得た地位を守り、さらに上昇することそのものを目的にする人も出てくる。若い頃から生意気を言っている人でも中年になると、若い人の反抗を抑える役割をしている傾向がある。

組織内の何人かが、「反骨精神」「気骨ある人であること」を歳をとっても忘れずに続けることが、組織の老化を防ぎ、柔軟性を維持する鍵である。組織は人なりというが、組織自体は自分では変われない。組織を変えるのは人であり、内部にどのくらい気骨ある人がいるか、どのくらい経営層、管理者層などに気骨ある人を抱えていられるかが問題だ。

NHK番組『バラエティー生活笑百科』のように「世の中いろんなトラブル続き。四角い仁鶴が、まぁ~るくおさめまっせぇ」ではだめだ。こんな話を若い人たちにしようと思う。

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