日本エネルギー会議

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安全対策費の上限

新たな規制基準による審査を原子力規制委員会が行っているが、防潮堤のかさ上げ、建屋の水密化、非常時における制御室の代替設備、免震重要棟、ベント装置、消防車電源車の配備、電気ケーブルの多重化、直流バッテリーの増強など電力会社の実施しようとしている過酷事故対策費用はハード面だけでも大変な額になる。

いったいどこまでやれば規制委員会が安全性を認めてくれるのか、電力会社は暗中模索だ。地元住民や自治体の首長にしてみても、どこまでやってくれれば安心なのか皆目見当がつかないだろう。そこのところが原子力規制委員の胸先三寸で決まることはないにしろ、電力料金を負担する消費者側は、これらの費用はすべて電力料金となって跳ね返るので、その内容と費用対効果についてしっかりとした説明を聞きたいところだ。

原発がメルトダウンを起こせば、数千億円の原発がダメになるばかりか、賠償や廃炉などで軽く10兆円を超す費用がかかり、それは消費者や納税者の負担になる。エネルギー安全保障、国際貿易収支、地球温暖化防止などのために、原発再稼働や増設をやることになった場合、いったい、いくらまで安全対策に金をかけるべきなのか。特に税金投入については、合理的な説明がないままに行われ、後で会計検査院から全く効果がなかったと指摘されるようなことが起きないか納税者は心配になる。

我が国が原発再稼働しないままで行った場合、紛争などで海外から化石燃料が来なくなる事態の発生で、経済や国民生活にどの程度の損害が出るか。温暖化がこのまま進めば、何年か後に台風の大型化や低地の水没、あるいは農作物やインフラでどの程度の被害が出るか。原発を維持あるいは建設することで、どの程度これらの損害を減らすことが出来るのか。原発の運転を続けることで、発生する使用済燃料や高レベル放射性廃棄物は、金のかかる対策を必要とする新たな環境問題とはならないのか。問題は経済的なものにとどまらず、心理的なもの、国際政治的なものにも広がって行く。

どんな答えにしろ、ノーリスクはあり得ず、リスクがあってもそれが短期間で解消出来るものであれば、容認しなくてはならない。ノーリスクを求めがちな世論に対して、それに迎合してはいけないし、どのようにしてリスクの顕在化を回避していくか具体的に考えるべきだ。

従来「民主、自主、公開」という建前で進めてきた原子力は、今度こそ本当の意味での平和利用三原則によって、国会などで実のある論議が交わされ国民の納得の上で進められることが求められている。

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