日本エネルギー会議

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避難から移住へ

福島第一原発の事故から三回目の年末を迎え、避難の問題は重大な局面を迎えている。除染が計画通り行かないことについて、遂に環境省も認めることになり、今後は帰還出来そうなところを重点的に除染するという方針が出てきたことと、秋頃から始まった財物の賠償が峠を過ぎ、多くの住民が家を買えるだけの金を手にしたからだ。

富岡町の発表によれば、一昨年の事故当時の人口15000人に対して現在は約1000人のマイナスとなっているが、これはあくまで住民登録の上である。富岡町に住民登録しておくメリットがある限り、住民票を移さないでおこうとするのが多くの人が考えることだ。避難先などに家を建てても、住民票を移さず別荘のようなかたちにしている人もいる。また、家を確保するために必死に土地を探している人、現在建築中の人もいる。

かつてアンケート調査で帰還条件として「周りが帰還したら自分も帰還する」という回答があったが、こんどは「周りが帰還しないので自分も帰還しない」というようになる。帰還不可能宣言が出るかもしれないという情報で、この動きはさらに加速しそうだ。

こうした動きは町の方でも数字では掴みきれていないのが実態だろう。だが、復興庁が最近行ったアンケート調査では、「帰還しない」が増えているのは事実であり、町長も町が消滅するのではないかと危機感を強めている。

手にした賠償のうち、月10万円の精神的損害分は、生活費に消えている人がほとんど。これによって年金生活者が都会に住んだこともあって、生活がバブルになっている。ほとんどの人が車を買い換えたりもしている。一旦生活レベルが上がったものを下げるのは難しく、精神的損害分も含めて賠償金をきちんと貯めている人は少ない。パチンコなどに使い果たしたという人も、まれではないようだ。区域解除後は一年程度で精神的損害分の支払いはなくなるので、その時が大変だという声がある。

持ち家でなかったため、財物の賠償を受けられなかった人たちは、結局仮設住宅から家賃の安い復興公営住宅に移るのを待ち、そのまま長く住むようになると思われる。家を建てた人はいつまでも住民票を移さないかもしれないが、帰還不可能が確定すれば、住民票を動かすしかない。帰還困難地域が多い大熊町、双葉町、富岡町、浪江町では、帰還不可能となった後に、住民が大量にいなくなるということになりかねない。いよいよ避難から移住への段階が近づいている。

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