日本エネルギー会議

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短い台湾訪問

先週は福島第一原発への放水で活躍された川崎市の鈴伊知郎消防指令長とともに、台湾原子能委員会に招かれ、福島第一原発の事故の避難体験を話してきた。九州ほどの国土に300万人の人口の台湾では、周囲を海に囲まれて山間地も多く、また地震国でもある。平地の人口密度はバングラデシュについで世界で二番目に高い。五位の日本の約二倍の人口密度。ちなみに少子化率も日本どころではないそうだ。

こうした地理的条件によって、原発事故が起きた際の対応に関する関係者の危機感は強い。また、中国の沿岸には多くの原発が運転しているので、それらが事故を起こせば、台湾は直ぐに影響を受けることも危惧していた。東日本大震災の発生から、原発事故の発生による避難、その後の避難生活、除染、賠償、地域の復興など広範囲なテーマで話をしたが、先方の関心は避難計画や避難訓練に集中した。

質問も情報を伝達する手段はどのようなものがあるのか、訓練に住民はどの程度参加するのか、バスは誰がどこから手配したのか、福島第一原発の事故後に行った訓練は以前とどのように違うのかなどであった。住民の参加意欲について質問した背景には、台湾では住民は仕事があるなどの理由でなかなか訓練に参加してくれないので、原発の職員が住民役を勤めているという事情があったようだ。日本では防災無線が整備されていることや住民から希望があれば、各家にも小さな受信装置を配って放送の内容が聞けるようにしていることを説明したが、装置のメーカーや価格を知りたがっていた。

原子能委員会の事務局である核能技術處の職員が、「福島第一原発の事故で対応した職員のうち、健康に障害を与える程度の被ばくをした人は何人いたか」と質問をしたところを見ると、海外では専門家でも正確な情報は得られていないのだということが分かった。また、福島第一原発の事故後に行った訓練の結果や評価についても知りたがっていたので、後日情報が得られ次第知らせることを約束した。

台湾では原発の高経年化とともに、専門知識と経験を持つベテラン職員がリタイアをして職員の平均年齢が上昇し、補充が効かないので、今まで直営で行なってきた作業を次第に外注化しているため、技術伝承やコミュニケーションに問題が出ることを心配していた。根強い反原発運動があること、放射性廃棄物の行き先も目処が立っていないなど、世界中で最も日本の原子力と多くの共通の悩みを抱えている国が台湾であることが今回の訪問でよくわかった。

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